DeFi(分散型金融)大手Curve Finance(カーブ・ファイナンス)の融資市場で、清算状態に入ったローンが数週間、場合によっては数カ月にわたって決済されずに生き延びていた実態が明らかになった。コインデスクが8日、カーブから共有されたデータをもとに報じた。多くのレンディングプラットフォームでは担保価格が一定の水準を割ると即座に売却されるが、カーブの仕組みではそうならない。「清算入り=ローンの終わり」という常識が覆されている。
602アドレス・704件、中央値は14.5日
コインデスクに共有されたデータによると、カーブの融資市場では602の借り手アドレスにわたって計704件のソフト清算が記録された。
これらのポジションが清算レンジ内にとどまった期間は、中央値で14.5日。全体の4分の1は少なくとも38.9日続き、なかには数カ月にわたって清算状態のまま開いていたものもある。704件のうち476件は、2026年上半期に始まったものだった。
通常の清算はこうはならない。借り手がイーサ(ETH)などを担保に差し入れ、その価格が設定水準を割ると、担保の一部が売却されて返済に充てられる。Aave(アーベ)やCompound(コンパウンド)では、いったん売られた担保は、その後に価格が戻っても借り手の手元には返らない。
「単一の清算価格」を「価格帯」に置き換える
カーブの融資システム「LLAMMA(ラマ)」は、この単一の清算価格を価格帯(レンジ)に置き換える。担保価格がそのレンジを下抜けていくと、ポジションを一括で閉じるのではなく、担保を借入資産へと段階的に変換していく。
そして、ローンが完全に破綻する前に価格が回復すれば、その変換の一部または全部が巻き戻される。カーブ公式のドキュメントによれば、ポジションはヘルス(健全性)が0%に達したときにのみ完全清算(ハード清算)される。単一の価格ではなく、ヘルスがすべてを決める設計だ。
今回のデータで興味深いのは、これらの借り手が単に猶予期間を待っていたわけではない点である。担保はローンが開いたまま実際に変換され続けており、ポジションは数日から数週間、部分的に清算された状態で過ごしながら、価格が反転すれば回復しうる状況にあった。
7日間生き延びた大口ローンの実例
カーブは公式ブログで、この仕組みが実際に機能した事例を公開している。2025年11月、ある利用者は当初9,942 ETH(約3,139万ドル)を担保に2,751万crvUSDを借り入れていた。ETH価格が急落して清算保護レンジに入ったが、ポジションは即時清算されなかった。
この利用者は途中で約120万crvUSDを返済してヘルスを高めるなど対応を重ね、結果としてローンは7日間、清算レンジ内にとどまりながら生き延びた。最終的にドル建てでは約8.9%の目減りとなったが、これはレンジ内でのETH価格の下落率(約9.9%)とおおむね一致する水準にとどまった。
もっとも、ソフト清算は無料ではない。コインデスクも指摘するように、借り手は取引手数料や金利、リバランス、そして上下する価格変動を通じて損失を被りうる。市場がさらに逆行すれば、ハード清算に至る可能性も残る。価格が回復しても、必ずしも元の位置に戻れるとは限らない。
なお、カーブはステーブルコインのスワップとcrvUSD融資市場で知られるDeFiの主要プロトコルだ。デファイラマのデータでは、預かり資産は約13億5,000万ドル(約2,074億円)にのぼる。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.63円)


