暗号資産デリバティブ取引所ビットメックス共同創業者のアーサー・ヘイズ氏は7日、同氏が最高経営責任者を務めるフロップ・ラボ(Flop Labs)の技術文書を公開したとXで明らかにした。AIエージェント向けのブロックチェーン「FLOPネットワーク」の設計とトークン配分が示されている。同氏が8月18日に引退から復帰して同社を率いると発表した時点では、いずれも未公表だった。
エージェントが計算資源を買う通貨
FLOPは浮動小数点演算(floating-point operations)の略で、文書はこの名称に設計思想を重ねている。人間が労働を貨幣と交換するのは貨幣で食料と住居を買えるからであり、計算資源を消費して知能を生産するエージェントにとって、経済の貨幣は計算資源を買えなければならないという理屈だ。FLOPはいつでも推論へ変換でき、エージェントは通貨を知能へ変えられる。
採用する合意形成の仕組みは「有用推論証明(Proof-of-Useful-Inference、PoUI)」と呼ばれる。ブロックチェーンの安全性確保のためだけに計算するのではなく、実際のAI推論を処理させる設計である。
処理の流れは4段階である。エージェントがセッション要求をメンプールへ投稿し、能力のあるマイナーが受諾して安全な接続を開く。マイナーが推論を完了して証明を提出し、バリデーターがその証明のハッシュをブロックへ含める。
セッション要求には、モデル重みのハッシュ、最大レイテンシ、FLOPs単位の計算量、機密性フラグ、そして手数料が含まれる。通常のGPUでも参加でき、機密計算は必須ではなく任意の階層とされている。
ジェネシス供給は約24億8,000万FLOP
ジェネシス供給は約24億8,000万FLOPで、全量がエアドロップを通じて配布される。ベンチャーキャピタルによるプレマインもトークンオークションも行わないとしている。ブロック報酬の配分は、マイナーが75%、バリデーターとエージェントがそれぞれ10%、通常のステーカーが5%だ。
報酬額は96FLOPから始まり、730日ごとに半減する。96、48、24、12、6、3と5回の半減を経たのち、以降は永続的に3FLOPで固定される。
ブロック時間は平均1秒で、1秒未満の決定的ファイナリティを備えるとする。ロードマップでは1秒を下回るブロック時間を目標に掲げる。バリデーターは1,000で上限が設定され、検証済みの作業と稼働率に基づいて月に約50が入れ替わる仕組みだ。
マイナーとバリデーターはFLOPをステークする必要があり、作業について虚偽を申告したり不正なブロックを公開したりした場合、全額没収と追放を含む厳しいスラッシングの対象となる。保有者はバリデーターやマイナーへステークを委任し、報酬を比例配分で受け取れる。
ガバナンスはFIP(FLOP Improvement Proposals)で運用され、多くの場合、実装には稼働中のバリデーターの3分の2の承認が必要になる。
検証方法は未公表、稼働は2027年
ただし、この文書は完成版ではない。
サイト上で「Draft whitepaper(草案)」と明記されており、最終更新は8月27日となっている。
設計の中核についても未解決の部分が残る。複数の海外メディアが指摘しているのは、非決定的なAIの出力をバリデーターがどのように検証するのかという点だ。誤った処理をどう特定し、悪意ある提供者をどう罰するのか、具体的な手法は示されていない。
日程も確定していない。エアドロップは2026年第4四半期、ジェネシスブロックは2027年第1四半期を目標とするが、フロップ・ラボはネットワークが未稼働であり、現在の設計は変更されうると説明している。
ヘイズ氏は8月の発表時、プレセールもVC配分も行わない「100%フェアローンチ」だとしていた。同氏はチームを自己資金で支えているとも述べている。
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