暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス元CEOのアーサー・ヘイズ氏は16日、自身のブログで新たなエッセイ「トレード不可地帯(No Trade Zone)」を公開した。同氏は、自身が運営する投資ファンド「メイルストロム」が第1四半期にほぼトレードを行わなかったと明かし、その理由と世界情勢がビットコイン価格に与える影響を論じた。
AIの雇用破壊とホルムズ海峡危機の2つの不確実性
ヘイズ氏によると、メイルストロムは第1四半期にハイパーリキッドのポジションをわずかに積み増したのみだという。同氏は消極的な姿勢になった理由について、AIエージェント普及による知識労働者の雇用破壊とデフレ的金融リスク、米イランの軍事衝突によるホルムズ海峡の通行危機という2つの不確実性が重なったためと説明した。
同氏は特に海峡をめぐる今後の展開を複数のシナリオを整理し、それぞれの影響を分析している。
最も注目すべきシナリオとしてヘイズ氏が挙げるのが、「テヘランの料金所」だ。イランが海峡の通行料を人民元や暗号資産などで徴収し、最終的にドルでの支払いを拒否するようになれば、各国はドル資産を売ってゴールドを買い、それを人民元に換えるという連鎖が生まれる。
この動きはすでに始まっており、開戦以来FRBが保管する外国当局の証券残高は630億ドル(約10兆円)減少、米国のゴールド輸出は前年比342%増に急拡大したと指摘。こうした流れが加速すれば、ドル主導のペトロダラー体制が揺らぎ、人民元とゴールドが新たな軸になりうるとヘイズ氏は警告する。
また、米軍がイランを武力排除する「帝国の逆襲」シナリオでは、イランが湾岸のエネルギー生産全体を道連れにする可能性があり、世界的なエネルギー価格の急騰と大規模なマネー増刷が避けられないとみている。
ビットコインの価格を動かすのは「金利」ではなく「お金の量」
ヘイズ氏がエッセイで強調するのは、ビットコイン
BTCの価格評価に関する独自の考え方だ。
株式などは将来の収益を金利で割り引いて評価するため、金利が上がると価格が下がる。しかしビットコインには配当も利益もないため、金利の変動は価格に直接影響しない。むしろ、世界に出回るお金の総量が増えるほど、供給量が固定されたビットコインの価値は上がるという論理だ。
つまり、中央銀行が金利を引き上げながら同時にお金を刷るという一見矛盾した状況でも、ビットコインとゴールドは上昇しうるとヘイズ氏は主張する。
現時点での注目指標として同氏が挙げるのは、米国債の値動きの荒さを示すMOVE指数だ。この指数が130を超えれば、何らかの形でマネー増刷が行われるとみており、相場が荒れる局面でビットコインが6万ドルのラインを維持できるかどうかを重要な判断材料としている。
新規リスクはゴールドとHYPEのみ、FRBの動き次第でビットコイン判断へ
現在のポートフォリオ方針について、ヘイズ氏は新たなリスクを取れる対象はゴールドと、分散型取引所(DEX)ハイパーリキッドのガバナンストークン「HYPE
HYPE」に限られると述べた。
HYPEについては、数週間以内にローンチされる予定の新機能「HIP-4」が、予測市場の分野で既存サービスから大きなシェアを奪うとヘイズ氏は期待を寄せる。
ビットコイン全体については、FRBが明確な流動性供給に踏み切るまでは積極的にリスクを取る局面ではないとしながらも、世界情勢の緊張が続く中で、静かに情勢を見極める構えを示している。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.8円)




