匿名の暗号資産(仮想通貨)トレーダーCBB氏は3日、分散型取引所ハイパーリキッドの「HIP-3」で株式の無期限先物の裁定取引(アービトラージ)を10カ月続けた記録をXで公開した。兄弟2人による運用で、利益は1,000万ドル(約16億円)に達したとしている。
IBKRとの価格差を取る
同氏によると、手法は単純だ。証券会社インタラクティブ・ブローカーズ(IBKR)の価格を正しい値とみなし、HIP-3側に価格差があるかを常時監視する。HIP-3の価格が割安であればそちらで買いを入れ、約定した場合に限ってIBKRで対応する売りを建てる。割高なら逆を行う。
ただし実際の運用では、銘柄ごとに多くの設定が必要になったという。IBKR側は最小ヘッジ数量、1回の注文で出す上限、許容するスリッページ、そして両者の差が一定量に達したら取引を止める上限値。HIP-3側は提示する数量やスプレッド、注文を取り消して置き直す値幅などを個別に決めていた。
同氏は株式の取引経験がなく、先物についてもほとんど知らない状態から始めたと明かしている。IBKRの画面を撮影してAIに質問しながら操作を覚え、後には取引データを分析させて改善点を探したという。
金・原油・半導体が相次いで動く
運用の開始は2025年10月末。11月の取引高は約8億5,000万ドル(約1,341億円)で、利益は50万ドル超だった。
12月は約5億5,000万ドルと落ち着き、別の対象を探すことも考えたという。
転機は1月だ。金と銀が急騰し、ハイパーリキッド上で商品を買う需要が集中した。同月の取引高は17億ドル(約2,682億円)に達し、ファンディング手数料だけで60万ドル超を得たとしている。
需要が膨らむほど、IBKR側でヘッジするための資金が必要になる。同氏は、これだけの規模の資金移動には銀行手続きの壁があったとしたうえで、ether.fi(イーサファイ)が大口の出金を素早く処理してくれたと記した。
2月末には原油が動く。同氏は、トランプ大統領がイランを攻撃したことで市場の変動が激しくなり、原油が100ドルを超えたと記している。この時期の利益は1日あたり6万〜12万ドルだった。
4月末からは半導体関連が急騰し、5月から7月にかけては月15億〜25億ドルの取引高で、週40万〜50万ドルの利益が続いたという。
1億2,000万ドルの売り持ち、そして撤退へ
順調に見える運用にも事故があった。1月27日、同氏はIBKRから清算警告を受け取る。
口座を確認すると、金先物を1億2,000万ドル(約189億円)分の売り持ちになっていた。しかも金は上昇の最中だった。同氏はボットを止め、30分ほどかけて手作業でポジションを閉じたという。損失は110万ドル(約2億円)だった。
原因はIBKRのAPIから届くデータが更新されなくなったことだ。ボットは両者の間にずれがあると誤認し、存在しないずれを埋めるために金の売り注文を繰り返していた。
同氏はデータの鮮度を確認する仕組みや、ポジションを増やす前の追加確認を組み込み、翌日に新しいボットを稼働させた。その翌日には銀が最高値をつけた後に急落し、ハイパーリキッドとIBKRの間に約3%の価格差が生じたことで、約60万ドルを取り戻したとしている。
10カ月の合計では、HIP-3とIBKRを合わせた取引高が320億ドル(約5.05兆円)。TradeXYZの総取引高の1.5%にあたるという。投下した資金に対する利回りは、時期によって年率35〜45%だったとしている。
同氏は運用の終了も示唆した。ウィンターミュートとの競争が続いた後、新たな参加者が加わって収益が大きく圧縮されたためだ。Ethena(エセナ)が株式のベーシス取引に参入する計画を示していることにも触れている。
投稿後には補足として、イーサファイとハイパービートの存在なしには成り立たなかったとも書き添えた。
なお、これらの数値はいずれも同氏の申告に基づくもので、第三者による検証は行われていない。
関連:ハイパーリキッドHIP-3、取引高79%増の32兆円──1社がシェア95%を占有
関連:ソフトバンクG株、ハイパーリキッドに上場──10倍レバで24時間365日取引
関連:ハイパーリキッド、HIP-3をメインネットで有効化──HYPE価格は一時43ドル台に
関連銘柄:
HYPE
ETHFI
ENA
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.76円)


