暗号資産決済ネットワーク大手のMoonPay(ムーンペイ)は29日、秘密鍵管理インフラ(暗号資産の秘密鍵を安全に保管・管理するセキュリティ基盤)を提供するSodot(ソドット)の買収を発表した。ブルームバーグによると買収額は全株式交換で約1億ドル(約156億円)。この買収を基盤として、金融機関や資産運用会社向けの新たな事業部門「MoonPay Institutional(ムーンペイ・インスティテューショナル)」を立ち上げる。
伝統的金融のデジタル資産参入を包括的に支援
新設されるムーンペイ機関投資家部門は、伝統的金融機関(TradFi)がデジタル資産やDeFi(分散型金融)エコシステムへ参入するための包括的な技術インフラを提供する。銀行業務、決済、取引、資産管理など幅広いサービスをカバーし、ウォレットインフラからカストディ、オンチェーン注文のルーティング、ステーブルコイン決済まで、一貫したコンプライアンスツールを備えているのが特徴だ。
今回買収されたソドットは2023年に設立された暗号鍵管理会社で、自己ホスト型のMPC(マルチパーティ計算)およびTEE(信頼実行環境)製品に特化している。これまでに500億ドル(約7兆8,000億円)以上の取引を保護し、イートロやビットゴー、フロー・トレーダーズなど1,000万以上のウォレットを管理してきた実績を持つ。ソドットの技術は、ムーンペイ機関投資家部門のセキュリティ基盤として統合される。
新事業のトップには、ムーン・グローバル・マーケッツのCEOであり、米商品先物取引委員会(CFTC)の元代理委員長を務めたキャロライン・D・ファム氏が就任する。同氏は金融規制と資本市場で25年の経験を持ち、「取締役会や投資家が求める『デジタル資産戦略』に対する答えがムーンペイ機関投資家部門だ。あらゆるトークンやチェーンに対応し、既存システムへ柔軟に統合できる」と自信を示した。
ムーンペイのCEOであるイヴァン・ソトライト氏は、「機関向け部門は我々の次のステージだ。ソドットのインフラと組み合わせることで、兆単位の投資を準備している伝統的金融機関に次世代のアクセスを提供できる」と述べている。既存のソドット顧客は引き続きサービスを利用でき、ムーンペイは今後もイスラエルの暗号技術拠点への投資を継続する方針だ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.2円)




