暗号資産(仮想通貨)決済を手掛ける「Keeta(キータ)」と、クロスチェーン技術を提供する「LayerZero(レイヤーゼロ)」は23日、業務提携を発表した。実際の商業銀行預金をイーサリアムやソラナなどの主要チェーン上で送受信できるようにし、法定通貨とブロックチェーンの双方で機能する機関投資家向けの新たな資金管理システムを提供する。
多通貨対応の実預金裏付けステーブルコイン
レイヤーゼロは、異なるブロックチェーン間で資産をシームレスに移動させる技術を提供するプロトコルだ。単一のチェーンに縛られず、複数のネットワークを安全に接続できるため、決済大手のペイパルや主要なDeFiプラットフォームなどにも採用されている。
一方のキータは、グーグルの元CEOエリック・シュミット氏からの支援を受け、独自のブロックチェーンを運営する企業だ。決済大手Visa(ビザ)が展開する「Visa Direct」に参加する数少ない暗号資産企業の一社で、約200カ国への即時決済に対応する。
処理性能では、グーグルのスパナーエンジニアリングチームと共同で実施した公開ストレステストで、毎秒1,120万件を記録したという。レイヤーゼロは、これまでテストされたなかで最速のブロックチェーンだとしている。
本提携が提供する資金管理システムの基軸となるのが、新ステーブルコイン「キータ・ステーブルコイン」である。レイヤーゼロの共通規格(OFT)を活用し、イーサリアムやソラナ、ベースなどの主要チェーン間を横断してシームレスに機能する仕組みだ。
従来のステーブルコインは多様な準備金に依存する傾向があった。対して同ステーブルコインは、米国の認可を受けた金融基盤「Bivo」を通じ、商業銀行預金によって直接裏付けられる。金融機関の実務用途に適合し、数秒でのオンチェーン決済が可能だという。
今月下旬には米ドルや日本円、ユーロ、英ポンドなど計9通貨で提供が開始される。これにより、複数の法定通貨と複数のブロックチェーンを一体的に運用できる、国際規制に準拠した機関グレードのキャッシュマネジメント環境が整う形だ。
機関投資家向け決済のオープン化へ
現在、米国の大手銀行らは、銀行間のみに限定された閉鎖的なトークン化預金ネットワークの構築を計画している。一方、今回の両社の取り組みは、パブリックチェーンという開かれた環境において、機関投資家が求める水準の金融商品を提供する代替手段となる。
レイヤーゼロの最高ビジネス責任者、サイモン・バクシス氏は「銀行預金のような規制対象資産が、あらゆるチェーンを行き来する決済基盤を構築している」と説明。キータを、この新たなパラダイムを推進する最適なパートナーであると位置づけた。
キータの創業者兼CEO、タイ・シェンク氏も、機関投資家の資金が単一ネットワークに留まるべきではないと指摘する。「規制下の銀行資金が、閉鎖的環境ではなく、開かれたチェーン上の必要な場所へ移動できるインフラを構築した」と、その意義を強調した。
提携は一方向ではない。キータも今回の取り組みの一環として、レイヤーゼロを自社ネットワーク内で利用可能なアンカーとして統合する。レイヤーゼロは現在、170を超えるパブリックチェーンに対応している。
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