金融庁は31日、令和9(2027)年度の予算と機構・定員の要求内容を公表した。暗号資産(仮想通貨)取引業者に対するモニタリング体制の強化を掲げ、室長の設置などを求めている。
暗号資産と電子決済手段に室長
定員要求は合計32人の増員だ。定員合理化等で18人が減るため、差し引き14人の純増となる。
32人は2つの柱に分かれる。「新たな金融サービスに対応するための体制強化」に13人、「金融機能の更なる発揮、金融システムへの信頼の確保」に19人という配分だ。
前者に並ぶ4項目のうち、筆頭に置かれたのが暗号資産取引業者へのモニタリング体制の強化である。室長の設置等が明記された。
残る3項目は、フロンティアAI等の新たな技術進展に伴うリスクへの対応(企画官の設置等)、デジタル技術を活用した決済の高度化推進(室長の設置等)、電子決済手段等取引業者の監督体制の強化だ。
資料が「暗号資産取引業者」と記している点も目を引く。現行の登録業者の呼称は暗号資産交換業者で、取引業者への変更は7月15日に成立した改正金融商品取引法によるものだ。同法は暗号資産の規制を資金決済法から金商法へ移す内容で、施行は2027年中の見通しとなっている。
後者の19人には、地域金融力強化に向けた検査の質の向上、協同組織金融機関へのモニタリング体制強化、サステナビリティ情報の保証業務、大量保有報告書に係る開示検査や無登録業者への犯則調査の実施体制強化、金融行政のDX化などが含まれる。
8月に課へ格上げしたばかり
金融庁は今年8月7日の組織再編で、総合政策局に置かれていた暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官室を「暗号資産・ステーブルコイン課」へ格上げし、新設の資産運用・保険監督局の下に移した。
参事官室の下にあった暗号資産モニタリング室も、そのまま同課へ引き継がれている。イノベーション推進室からはデジタル決済企画室が分かれ、室の数は1つ増えた。
今回の要求は、この体制をさらに厚くする位置づけとなる。ただし資料には、室長をどの部署に置くかまでの記載はない。
関連:金融庁が「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設──監督体制を格上げ
予算総額403億円
予算要求の総額は403億円で、前年度予算から134億円増える。内訳は人件費200億円、物件費155億円、デジタル庁一括計上48億円。金融庁は「資産運用立国」の取組をさらに発展させるための予算だと説明している。
主な政策的経費は3本柱で構成される。地域金融力の強化に28億円、「強い経済」を実現する成長投資の促進に48億円、金融システムの信頼確保と利用者保護に64億円だ。
このうち成長投資の促進には「デジタル技術を用いた金融サービスの変革」が含まれ、括弧書きでオンチェーンの金融手法の利活用と、デジタル決済と連携した決済システムの構築促進が挙げられている。
信頼確保と利用者保護の64億円には、金融機関におけるサイバーセキュリティ対策の強化と耐量子計算機暗号(PQC)への移行支援、AI活用による監視・モニタリング基盤の整備が並ぶ。
資料にはこのほか、政府全体の「補助金の点検・見直し」への対応として、行政事業レビューの公開プロセスを活用した点検を実施したことも記載されている。
関連:仮想通貨の税率、最大55%から20%へ──金商法改正が成立
関連:金融庁、信託型ステーブルコインの調書提出免除を要望──令和9年度税制改正


