レイヤー1ブロックチェーンSui(スイ)のレンディング市場のTVL(預け入れ資産総額)は、約3億4,200万ドルまで拡大しています。市場の拡大に伴い、Suiチェーンでは7〜10%前後のステーブルコイン供給利回りを狙えるレンディングプロトコルも増えています。
この記事では、Suiのレンディングプロトコル「Current(カレント)」を中心に、利回りやポイントの仕組み、実際の運用方法、利用時の注意点まで解説します。Suiでの運用先を探しているDeFi初級〜中級者向けの内容です。
- CurrentはSuiのレンディングプロトコルで、ステーブルコインの供給利回りに加えてCurrent Pointsを獲得できる点が特徴
- 主要ステーブルコインで7〜8%台の供給APRを狙える一方、表示APRにはSUIインセンティブが含まれる
- 資産の供給・出金はシンプルだが、出金時の流動性やSurf Boardのロック、APRの変動には注意が必要
Currentとは|Suiのレンディングプロトコル

Currentの基本情報
Currentは、Sui単一チェーンで展開されるレンディングプロトコルです。概要は次のとおりです。
| 名称 | Current(カレント) |
|---|---|
| サービス種別 | レンディングプロトコル |
| 対応チェーン | Sui |
| TVL | 約3,317万ドル |
| マーケット構成 | メインマーケット/アルトコインマーケット |
| 対応ステーブルコイン | USDC、USDSUI、USDTなど |
| ステーブル供給APR | USDC:9.0% USDSUI:8.3% USDT:7.8% |
| ポイント制度 | あり(シーズン2:2026年7月22日〜10月22日) |
| セキュリティ監査 | 実施済み |
Currentでは、メインマーケットとアルトコインマーケットを分けて運用しています。資産ごとに市場を分離することで、特定の資産のリスクがほかの市場へ広がりにくい設計です。
また、Sui Foundation(スイ財団)、Comma3 Ventures(コンマスリー・ベンチャーズ)、OKX Ventures(オーケーエックス・ベンチャーズ)、Cetus Protocol(シータス・プロトコル)、Bluefin(ブルーフィン)などから資金調達を行っています。調達額は公表されていません。
セキュリティ面では、Asymptotic(アシンプトティック)やMoveBit(ムーブビット)による第三者監査を受けています。対象はレンディング、ガバナンス、レバレッジ機能などで、監査レポートも公開されています。
Currentの利回り
Currentは、供給額に対する貸出額の比率がSuiの主要レンディングプロトコルの中でも高い水準です。2026年8月31日時点では、約7,500万ドルの供給に対して約4,095万ドルが貸し出されており、貸出比率は約55%となっています。預けられた資金が活発に借り手へ回っていることがうかがえます。
ステーブルコインの供給APRは、USDCが9.0%、USDSUIが8.3%、USDTが7.8%です。USDCは借入APR4.2%・稼働率65%、USDSUIは借入APR7.2%・稼働率82%、USDTは借入APR5.0%・稼働率80%となっています。
Currentの供給APRにはインセンティブも含まれます。そのため、利回りは借入需要だけでなく、報酬条件の変更によっても上下します。

Sui主要プロトコルのステーブルコイン利回り比較
Suiの主要6プロトコルのステーブルコイン供給利回りを比較します。なお、利回りは市場状況によって変動します。
| プロトコル | USDC供給利回り | ステーブルコイン最高利回り | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Suilend(Ember) | 9.30% APR | USDSUI 11.13% APR | 戦略型ボールトを組み込んだ隔離マーケット |
| Current | 9.00% APR | USDC 9.00% APR | メイン/アルト市場に分離。ポイント制度あり |
| AlphaFi | 8.13% APR | USDSUI 9.38% APR | レンディングに加え、運用戦略型ボールトも提供 |
| NAVI | 8.42% APY | USDC 8.42% APY | EModeやフラッシュローンなどに対応 |
| Suilend(メイン) | 4.07% APR | USDSUI 7.81% APR | Suilendの通常レンディング市場 |
| Scallop | 2.11% APY | USDSUI 5.39% APY | 供給利回りを自動で再投資 |
ステーブルコインの最高利回りは、Suilend(スイレンド)のEmber(エンバー)マーケットで、USDSUIが11.13%、USDCが9.30%です。ただし、Emberは固定利付商品やDEX(分散型取引所)の流動性提供などを組み合わせる戦略型ボールトで、通常のレンディングとは利回りの生まれ方が異なります。
CurrentのUSDC供給APRは9.0%です。AlphaFi(アルファファイ)やNAVI(ナビ)と近い水準で、Suilendメインマーケットの4.07%を上回っています。USDSUIは8.2%、USDTは7.5%です。利回りだけで突出しているわけではありませんが、資産を預けるとCurrent Pointsを獲得でき、追加報酬を狙える点がCurrentの特徴です。詳しい仕組みは次の項目で解説します。
Scallop(スキャロップ)のUSDCは2.11%APYです。供給利回りは自動的に再投資されるため、手動で報酬を受け取る必要がありません。さらに、USDC建てで残高が増えるため、別の報酬トークンを受け取る方式と比べて、報酬トークンの価格変動による影響を受けにくい点も特徴です。
Currentのポイントプログラム
Currentでは独自のポイントプログラムを実施しており、資産を供給すると「Current Points」が貯まります。貯めたポイントは、「Surf Board(サーフボード)」と呼ばれるNFTのミントに使用できます。
ミントしたSurf Boardをステーキングすると、Season 2の報酬プールから配分を受けられます。期間は2026年7月22日から10月22日までで、報酬として4万6,000 SUI
SUIと500万CRT(Currentのトークン)が用意されています。500万CRTは総供給量の5%にあたります。
報酬は、ステーキングしたSurf Boardの枚数が全体に占める割合に応じて配分されます。「利回り+ポイント」の二重取りを狙える点がCurrentのメリットです。

ステーブルコイン運用するならCurrent|おすすめの理由は?
ここまでの内容を踏まえ、Currentをおすすめする理由は次の3点です。
Currentを選ぶ3つの理由
- ポイント制度で追加報酬を狙える
資産を預けるとCurrent Pointsが貯まり、SUI・CRTの追加報酬も狙えます。 - 供給APRが7~9%台と比較的高い
USDC 9.0%、USDSUI 8.2%、USDT 7.5%と、主要ステーブルコインで7〜9%台の供給APRを得られます。 - マーケットを分けてリスクを管理
メインマーケットとアルトコインマーケットを分け、特定の資産の価格変動による影響が他の市場へ波及しにくい設計を採用しています。
Currentの使い方|ステーブルコインを運用する手順
ここからは、Currentでステーブルコインを運用する手順を解説します。必要なのは、Sui対応ウォレットとSuiチェーン上のステーブルコインです。
STEP1:Suiウォレットを準備

まずSui対応のウォレットを用意します。Phantom(ファントム)やSlush(スラッシュ)などが対応しています。
初回設定時に表示されるリカバリーフレーズは紙などに控え、安全に保管してください。
関連記事:Phantom Wallet(ファントムウォレット)の使い方【スマホ版】
STEP2:Suiチェーンへ入金

次にSuiチェーンへ資金を移します。Suiを扱う取引所からSUIやステーブルコインを送金するか、Sui Bridgeなどの対応ブリッジでステーブルコインをSuiへ移します。手数料の支払い用に、少額のSUIもあわせて用意しておきます。
STEP3:Currentで供給(Supply)

Currentの公式サイトにウォレットを接続すると、マーケット一覧が表示されます。各資産の供給APRと稼働率(Utilization Ratio)を確認し、運用したいステーブルコインの「Supply」を選びます。

続いて、供給額を入力します。25%・50%・75%・Maxのボタンから、保有額に対する割合を指定することもできます。最低供給額の設定はなく、少額からでも始められます。最後に「Supply」をタップして供給を確定します。
STEP4:ポジションとポイントを確認

供給後は、ポートフォリオ画面で預け入れ額・受け取っている利回り・貯まったポイントを確認できます。利回りは需給に応じて変動するため、定期的に確認しておきましょう。
STEP5:出金(Withdraw)

資金を引き出すときは「Withdraw」から金額を指定します。出金にかかる手数料はガス代のみで、供給時と同様に少額のSUIがあれば実行できます。
ただし、稼働率が高くプール内の利用可能資金が少ない場合は、希望額をすぐに全額出金できないことがあります。
Currentの表示APRの見方
Currentの供給APRは、借入需要や稼働率によって変動するベース金利に、インセンティブが上乗せされて表示されます。
CurrentのUSDCは、2026年8月31日時点で供給APR9.0%で、そのうち6.8%がSUIによるインセンティブです。USDC Reserveの詳細画面では、ベースとなるSupply APRが2.16%、Borrow APRが4.16%、稼働率が65%と表示されています。つまり、表示APRの大部分はインセンティブによる上乗せです。

稼働率65%は、供給されたUSDCの65%が借り手に利用されていることを示します。稼働率はベース金利にも影響するため、資金の利用状況によってベース部分の利回りも変動します。
また、USDCのインセンティブは、USDCではなくSUIで付与されます。インセンティブの内容や報酬条件によって表示APRは変動するほか、受け取ったSUIの価値は価格変動にも左右されます。
そのため、Currentと他プロトコルの供給APRを比較する際は、数値そのものだけで判断しないことが大切です。
Currentでポイントを効率よく貯めるコツ
Current Pointsは、預ける資産とその量に加え、資産ごとに設定された「Asset Point Rate」に応じて貯まります。Season 2のAsset Point Rateは以下のとおりです。
| 預け入れ資産 | Asset Point Rate |
|---|---|
| SUI | 6 |
| USDC | 6 |
| USDT | 3 |
| USDSUI | 3 |
| haSUI | 2 |
| その他の対応資産 | 1 |
つまり、同じ金額を預ける場合、USDCはUSDTやUSDSUIよりポイントを貯めやすいということです。
また、対象となるFLP-1 NFTを保有していると、Base Pointsが1.5倍になります。CurrentのMigration機能を初めて利用し、1,000ドル以上の資産を移行した場合は、100 Bonus Pointsも付与されます。
Surf Boardのミントに必要なポイント数は毎週見直され、今後は基準が引き下げられます。早い段階でSurf Boardをステーキングすると、報酬を受け取れる期間が長くなり、Surf Board 1枚あたりの取り分も大きくなりやすくなります。
なお、Surf Boardをミントするとポイントは消費され、取り消しはできません。未使用のポイントはそのまま残ります。
Current Pointsを貯めておくと、今後エアドロップなどが実施される際に有利になる可能性があります。今のうちにできるだけポイントを増やしておくとよいでしょう。ただし、現時点では将来のエアドロップは発表されていないため、今後の公式発表に注目したいところです。
Currentを利用する際の注意点

ここでは、Currentを利用する際に注意したいポイントを解説します。
インセンティブの割合や内容によって供給APRが下がる可能性がある
Currentの供給APRには、ベース金利に加えてインセンティブが含まれます。2026年8月31日時点では、USDCの供給APR9.0%のうち6.8%がSUIによるインセンティブです。
そのため、インセンティブの割合が引き下げられたり、報酬が減額・終了したりすると、供給APRも下がります。供給APRは固定ではないことを踏まえて、運用額を決めることが大切です。
稼働率によってすぐに出金できない場合がある
Currentでは、稼働率が高まりプール内の利用可能資金が少なくなると、希望額をすぐに全額出金できない場合があります。2026年8月31日時点では、USDSUIの稼働率は82%、USDTは80%となっています。
特にまとまった金額を出金したい場合は、Reserve詳細画面で利用可能な流動性を確認しておきましょう。
Surf BoardはSeason 2終了までロックされる
ステーキングしたSurf Boardは、Season 2が終わるまでロックされ、途中で解除・譲渡・売買はできません。SUI報酬はSeason 2終了後にSurf Boardをバーン(焼却)することで受け取れます。
一方、CRTの配布はTGE(トークン発行)のスケジュールに従うとされており、配布時期やトークン価値は現時点で確定していません。そのため、CRT報酬を当てにして運用額を決めないようにしましょう。
DeFi特有のリスクがある
スマートコントラクトの不具合や攻撃によって資金を失う可能性は、監査を受けたプロトコルでもゼロにはなりません。また、運用するステーブルコインで価格が下落するデペッグが起きると、含み損に直結します。
CurrentではPyth Networkなどの外部オラクルから価格情報を取得しているため、価格データの遅延や異常が生じるリスクもあります。
Currentだけに資金を集中させず、複数のプロトコルやステーブルコインに分散して運用することで、リスクを分散できます。
Currentで得た利回りは課税対象になる
日本の税制上、Currentで得た利回りは原則として雑所得の対象になります。所得の計算方法や申告の要否は取引状況によって異なるため、必要に応じて税理士などの専門家に相談してください。
年齢や居住地域によって利用できない場合がある
現時点で、日本居住者はCurrentを利用できます。ただし、18歳未満の人や、Currentの利用が禁止・制限されている地域の居住者は利用できません。
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