コスモスEVMの脆弱性で6チェーン被害──流出は約9.1億円、口座は凍結

コスモスEVMの脆弱性で6チェーン被害──流出は約9.1億円、口座は凍結
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
水澤 誉往
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Highlights
  • Cosmos EVMの脆弱性を突く攻撃で6チェーンが被害。流出額は合計約572万ドル(約9.1億円)
  • DEXでの売却が約287万ドル、中央集権型取引所での売却が推計285万ドル。口座は凍結済み
  • 脆弱性は4月に報告済み。資金流出の恐れなしと誤判定し、公開のサイレントパッチで処理していた

ブロックチェーン開発基盤「コスモスSDK」やコスモスEVMを手がけるコスモス・ラボは28日、コスモスEVMの脆弱性を悪用した攻撃に関する事後報告書を公開した。

攻撃は8月20日19時06分から25日15時20分(いずれもUTC)にかけて発生し、6つのネットワークから合計約572万ドル(約9.1億円)相当の暗号資産(仮想通貨)が流出した。

DEXで287万ドル、取引所で285万ドル

報告書によると、攻撃者が奪ったトークンのうち、ブリッジで他ネットワークへ移されDEXで別の資産に交換された分が約287万ドル(8月19日時点の価格、約4.6億円)にのぼる。

内訳は261万3,674.48 USDT、114.129045 ETH、93.78 TON、1.393618 USDC、98.87 OSMO。これらの数字は被害を受けたチェーンから提供されたもので、独立した監査は経ていないとしている。

これとは別に、中央集権型取引所へ入金して売却された分が、公開されている出来高データに基づく推計で285万ドル。合わせると約572万ドル規模になる。

攻撃者が使った取引所口座は、報告書の公開時点で凍結され、当局の捜査を待つ状態にある。

止まるまでの時間で結末が分かれた

最初に狙われたのはMANTRA(マントラ)だった。8月20日19時06分に1回目、22時59分に2回目の攻撃を受け、2回目のおよそ14分後にチェーンが停止している。同チームからの通報が、コスモス・ラボが事態を把握する端緒となった。

2日後の22日19時46分、今度はTACが同じ手口で攻撃を受けた。ボンド済みトークンプールから約29億8,565万TACが引き出され、その1分後にはレイヤーゼロ経由でBNBチェーンへ2回に分けて送られている。

売却は分散して行われた。攻撃者はカイバースワップ経由で約80回に分けて少量ずつ売り、12億850万TACを95万293 USDTに換えた。公開プールの流動性が薄いため、価格差を狙う裁定ボットが相手方に入る形になったという。

TACの停止は攻撃の約4時間後、23時58分。約16億6,200万TACはBNBチェーン上に売れ残ったままで、6,510万TACはネットワーク停止によって凍結された。

同じ22日の21時から22時50分にかけて、KiiChain(キーチェーン)も18回にわたる攻撃を受けた。約1億4,830万KIIが引き出され、うち6,759万7,997.87 KIIがハイパーレーン経由でBNBチェーンへ移された。

BNBチェーン上では、パンケーキスワップで6,460万KIIが160万7,323.41 USDTに換えられ、300万KIIはクーコインの入金アドレスへ送られている。

ただしキーチェーンでは、引き出された分の54.4%にあたる約8,070万KIIがチェーン上に残っている。報告書は、ネットワークの復旧後に回収可能だとしている。

残る3チェーンについては、攻撃の手口が同じであることを理由に詳細が省かれ、名前も記されていない。このほか、攻撃者が資金を持ち出す前に停止したチェーンが1つあり、被害を免れたと報告されている。

4月に報告されていた脆弱性

この脆弱性が最初に報告されたのは4月25日だった。バグバウンティ経由の報告には、小数6桁のネットワークでの実証コードが添えられていた。

コスモス・ラボは他の構成でも再現を試みたが、小数18桁のネットワークでは再現できず、影響は6桁のみと結論づけた。本番稼働中の既知のコスモスEVMネットワークはすべて18桁だったため、利用者資金への脅威はないと判断している。

この判断に基づき、非公開でパッチを配布する手順ではなく、公開のサイレントパッチ処理が選ばれた。修正は5月15日にメインブランチへマージされたが、状態変更を伴うためリリースブランチへの反映は見送られている。

8月初旬、独立した研究者からの追加報告により、小数桁数にかかわらず全チェーンが影響を受けることが確認された。それでも、パッチがすでに公開されていて悪用の形跡がないことから、引き続きサイレントパッチで進める判断が下される。

修正は難読化したうえでリリースブランチへ反映され、8月19日にv0.6.2とv0.7.2として公開された。

その翌朝、事態が動く。8月20日7時16分、プッシュチェーンによるフォークの公開プルリクエストが、脆弱性と攻撃経路を詳細に記述した。ハッケンの独立監査による発見だと明示し、どのタグが脆弱なままかを表で示していたという。最初の攻撃は、その約12時間後に起きている。

コスモス・ラボは、下流の開発者が攻撃経路を公開の場に記すのは極めて異例であり、悪用のリスクを高めうると指摘した。過去13カ月で37件の脆弱性をサイレントパッチで処理してきたが、こうした事例はなかったとしている。

同社は再発防止として、脆弱性の影響範囲が報告内容を超えるケースを見つけ出す手法の整備、開示チャネルの周知徹底、外部専門家と組んだセキュリティ体制の監査を挙げた。2025年1月以降、バグバウンティを通じて研究者へ85万ドル超を支払ってきたという。

なお報告書は末尾で、この文書は情報提供を目的とするものであり、法的責任を認めるものではないと明記している。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.37円)

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株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
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