ステーブルコイン「USDe」を発行するDeFi「Ethena(エセナ)」は28日、裏付け資産の運用先を拡大すると発表した。従来の暗号資産に加えて、裏付け資産の運用対象を株式の無期限先物市場へ拡大すると発表した。需要が旺盛な伝統金融市場へ進出し、収益源の多角化を図る構えだ。
暗号資産の利回り低下を受け、AI株など需要旺盛な株式市場へシフト
エセナはこれまで、現物の保有と先物の空売りを組み合わせて相場変動の影響を打ち消す「デルタニュートラル戦略」を用いてきた。相場の上下に関わらず、先物の買い手が支払う資金調達率を利回りとして集める仕組みだ。
同社によると、2024年に平均11%だったビットコインの同レートは今年に入り一時2%台まで低下したものの、直近では市場心理の好転に伴い再び上昇傾向にある。
一方で、バイナンスなどで取引される株式の無期限先物市場は急成長している。エセナの報告によると、今年8月11日時点で全体の建玉は約62億ドルに達したという。取引はエヌビディアやスペースXなどAIや半導体関連銘柄に集中しており、非常に活発な状態が続いているとしている。
こうした株式市場では買い需要が強く、直近の資金調達率は14~17%台の高い水準を維持していると同社は分析している。株式の資金調達率は暗号資産の値動きとほぼ相関がないため、既存の運用に組み込むことで市場環境に依存しない高い分散効果が期待できるとエセナは述べている。
166兆ドル規模の市場がもたらす将来性
世界の株式時価総額は2026年7月時点で約166.5兆ドルに達しており、約2.2兆ドルの暗号資産市場とは比較にならないほど巨大だ。エセナは、現在の暗号資産の無期限先物市場の規模は、株式市場の持つポテンシャルと比較すると微々たるものに過ぎないと指摘している。
同社はこれを背景に、将来的に株式の無期限先物市場が4兆ドル規模まで成長する可能性があるとの試算を提示している。超短期のオプション取引が好まれる伝統的な株式市場において、より効率的な無期限先物が投資家に普及していく下地は十分に整っていると同社は見込んでいる。
株式の巨大な流動性と旺盛な買い需要をDeFiの利回りに直接変換する試みは、USDeなどステーブルコインの安定性を底上げする。暗号資産の弱気相場でも、伝統金融の成長から高い収益を享受できる可能性があるため、投資家にとってはポートフォリオのリスク分散と利回り向上の両面で恩恵が大きいだろう。
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