暗号資産(仮想通貨)カストディ企業のcopper(コッパー)が約5億ドル(約800億円)での企業売却を模索していることが21日、コインデスクの報道により明らかになった。報道によると、ウォール街の投資銀行キャンター・フィッツジェラルドが売却アドバイザーに起用されたという。
IPO検討から売却へ、方針転換の背景にある市場環境
コッパーは今年1月、IPOを検討していると報じられていた。同業のビットゴーが上場を果たしたことを受け、後に続く動きとみられていた。しかし、ビットコイン(BTC)価格の低迷やAI分野への資本集中により暗号資産IPO市場が停滞。こうした環境が自社売却への方針転換を後押ししたとみられる。
それでも約800億円という売却希望額の背景には、同社の中核資産である決済システム「ClearLoop」の存在がある。このシステムはカストディ内でデリバリー・バーサス・ペイメント(DvP)を実行できる仕組みで、資産をオンチェーンに移動させることなく決済リスクを排除できる特徴を持つ。
同社は2023年にエンタープライズ・カストディ事業を閉鎖し、ClearLoopへ経営資源を集中。現在では1,000を超えるアクティブな取引相手を持ち、月間想定取引高は500億ドル(約7.9兆円)を超える規模に成長しているという。
今年4月にはClearLoopをOTCデリバティブの担保管理領域に拡張。ディーラーの資本効率とテイカーのリスク低減を両立する三者間担保モデルを発表している。ClearLoopはスポット取引の決済インフラにとどまらず、デリバティブ市場における担保管理基盤としても機能する体制が整いつつあった。
こうしたClearLoopの実用性を間近で評価してきたのがキャンター・フィッツジェラルドだ。同社は2025年3月、ビットコイン・ファイナンス事業の担保管理者兼カストディアンとしてコッパーを起用しており、売却アドバイザーが同時に顧客でもあるという関係性を持っている。
コインデスクによると、両者はいずれも報道に対するコメント要請に応じていないという。ClearLoopという独自インフラを武器に事業拡大を続けてきたコッパーの売却は、暗号資産インフラ領域の再編を占う注目材料となりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.8円)



