元FTX幹部、仮想通貨も対象の「損失ゼロ」AI取引サービスを開始

元FTX幹部、仮想通貨も対象の「損失ゼロ」AI取引サービスを開始
パーペチュアル・ドットコム公式サイトより引用
shoko-koyama
9 Min Read
Highlights
  • 元FTXヨーロッパ責任者のグリューン氏が「損失ゼロ」のAI取引プラットフォーム「UpsideOnly」をローンチ
  • ユーザーはシミュレーション取引で予測を提出し、利益の50%を受け取る──損失は全額会社負担
  • 独自AI「BayesShield AI」は220億件超の取引データで訓練済み、CEO自身が1億ドルを投入

ナスダック上場企業パーペチュアルズ・ドットコム(Perpetuals.com、PDC)は19日、ユーザーが自己資金を一切リスクにさらさずに取引利益を得られるAI搭載プラットフォーム「アップサイドオンリー」をローンチしたとブルームバーグが報じた。同社CEOのパトリック・グリューン氏は、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの欧州法人で責任者を務めた経歴を持つ。

ユーザーは損失ゼロ、利益の50%を受け取る仕組み

アップサイドオンリーの仕組みはこうだ。ユーザーは原油・金・株式・暗号資産などの資産について、シミュレーション上で価格予測を提出する。同社の独自AIモデル「ベイズシールドAI」がその中から利益を生む可能性の高い戦略を選別し、パーペチュアルズが自社資金で実際の取引を執行する。取引が成功すれば利益の50%がシグナル提供者に還元され、損失が出た場合はすべてパーペチュアルズ側が負担する。

つまりユーザーは資金ではなく、時間と知見をAIの訓練に提供する構造だ。グリューン氏はブルームバーグに対し「リテールトレーダーは金融商品の分析には長けているが、執行が苦手だ。人間の知恵とAIを組み合わせるのが狙い」と語った。

ベイズシールドAIは220億件超の取引データで訓練済みで、市場そのものを予測するのではなく、個々のトレーダーの取引結果を予測する設計だという。グリューン氏は「AIで市場を予測することは不可能だと確信している。だが、人間の取引がどうなるかを予測することは可能だ。過去の実績があるからだ」と述べた。

FTX崩壊の経験が設計思想に

グリューン氏はスイスのデジタルアセッツAGの共同創業者で、2021年にFTX創業者サム・バンクマン=フリード氏に同社を売却し、FTXヨーロッパの責任者に就任した。翌2022年のFTX破綻後、法的手続きを経て欧州法人の資産を約3,300万ドル(約52億円)で買い戻し、パーペチュアルズの基盤とした。

同氏は「FTXでは異なる設計にすることもできた。だが、二度とああいうことはしたくないと決めた」とブルームバーグに語り、ユーザーが資金の管理権を手放さずに利益を得られるプラットフォーム設計にFTXでの経験が反映されていることを強調した。パーペチュアルズの取引プールにはグリューン氏自身が1億ドル(約159億円)を投入済みで、さらに数億ドル規模の資金調達に向けた交渉も進めているという。

ただし、この「ノーロス(損失なし)」モデルに対しては懐疑的な見方もある。損失を負わないのはあくまでユーザー側であり、すべての損失ポジションを吸収するパーペチュアルズの時価総額は約2,200万ドル(約35億円)にとどまり、直近の業績も赤字が続いている。モデルの持続可能性は今後の運用実績にかかっている。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.06円)

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仮想通貨歴6年。ニュース記者歴4年。常に仮想通貨ニュースを追う。情報ソースを追究し正しい情報をわかりやすく伝えることに努めている。仮想通貨は下落するたび買い増すタイプで、主にステーキングで資産運用中。
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