イラン経済省が16日、ホルムズ海峡やペルシャ湾を通過する海上貨物を対象とした保険プラットフォーム「Hormuz Safe(ホルムズ・セーフ)」を立ち上げたことがファルス通信の報道で明らかになった。同プラットフォームは保険料の決済にビットコインを含む暗号資産での決済を採用し、従来の金融システムに依存しない海上保険インフラ構築を目指している。
経済制裁下の新戦略、1.5兆円超の収益を見込む
ホルムズ・セーフは、ホルムズ海峡およびその周辺水域を航行する船舶の貨物に対し、各種海上保険証券や財務責任証明書を発行する機能を持つ。発行される保険証券には暗号技術による検証機能が組み込まれており、迅速な発行が可能だという。決済が承認された時点から貨物は即座に保険の対象となり、所有者には署名済みのデジタル受領証が提供される仕組みとなっている。
報道によると、イラン経済省は4月初旬から、保険制度を通じたホルムズ海峡の管理強化に向けた計画を進めてきたという。同省はこのプラットフォームにより、100億ドル(約1.6兆円)以上の収益を見込んでいるとされる。
ビットコイン
BTCによる決済を採用した背景には、従来の金融インフラを介さずに取引を完結させる狙いがある。経済制裁の影響で国際金融システムから大きく隔離されているイランにとって、暗号資産(仮想通貨)は海外との経済活動を維持するための手段として注目されてきた。
国際海運会社の認知は不透明、暗号資産ウォレット凍結への懸念の声も
一方で、このプラットフォームの実効性には疑問も残る。国際的な海運会社がイラン政府の発行する保険を認知するかどうかは不透明であり、実際に広く利用されるかは見通せない状況だ。
新たなプラットフォームの登場により、イラン国内の反応も賛否が分かれている。報道には海峡管理の強化や経済的自立を歓迎する声がある一方、銀行制裁が解除されない限り効果は限定的だという指摘や暗号資産ウォレットが凍結されるリスクを懸念する声も上がっている。
さらに、この報道に関連して国内の通信インフラへの不満も表面化した。高額な利用料がかかる政府提供のインターネットサービスへの批判や「まずインターネットを繋げ」という声に加え、「イランのVPNを外国船に売ればいい」と国内のネット規制を皮肉るコメントも見られた。
ホルムズ・セーフの公開は、地政学的な要衝であるホルムズ海峡において、暗号資産を国家レベルの経済戦略に組み込もうとするイランの姿勢を示すものとなった。実際の運用状況と国際海運業界の対応が今後注目されそうだ。
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