DeFiデリバティブプラットフォームのVariational(バリエーショナル)は20日、ドラゴンフライ・キャピタル主導のシリーズAラウンドで5,000万ドル(約79億円)を調達したと発表した。ベイン・キャピタル・クリプトやコインベース・ベンチャーズも参加しており、2021年のシードラウンド(1,030万ドル)を含む累計調達額は6,180万ドル超となる。
「オーダーブックはRWAには不向き」──TradFi流動性を直接オンチェーンへ
バリエーショナルはケイマン諸島を拠点とするP2P(ピアツーピア)デリバティブ取引プロトコルで、累計取引高は2,000億ドルを超える。共同創業者のルーカス・シューマンCEOとエドワード・ユー氏はコロンビア大学在学中に出会い、定量取引会社を設立。同社をバリー・シルバートのデジタル・カレンシー・グループ(DCG)に売却した後、2021年にバリエーショナルを創業した。
同プロトコルの最大の特徴は、ハイパーリキッドのようなオーダーブック型取引所とは根本的に異なるアプローチを採る点にある。シューマンCEOはフォーチュンのインタビューで「オーダーブックにはコールドスタート問題がある。ハイパーリキッドの最も流動性の高い銘柄でさえ、CMEなどのTradFiソースと比べて100倍以上の流動性ギャップがある」と指摘した。
バリエーショナルはオーダーブックを構築する代わりに、大手暗号資産取引所や伝統的金融のディーラーから流動性を集約し、オンチェーンに直接ルーティングする。ドラゴンフライのマネージングパートナー、ハシーブ・クレシ氏は「他のプロジェクトはストローで流動性を吸い上げるように、マーケットメイカーへの補助金に何百万ドルも費やして薄いオーダーブックを作っている。バリエーショナルのモデルはそれを完全に迂回し、TradFiの流動性をオンチェーンに直結させる」と評価した。
調達と同時に、バリエーショナルはRWA(実世界資産)市場展開のフェーズ1をローンチした。現在、金・銀・銅・原油の無期限先物(パーペチュアル)が手数料ゼロで取引可能で、単一のクロスマージン口座から暗号資産とコモディティの両方を取引できる。シューマンCEOは同社のモデルを「ブローカレッジ型」と表現し、比較対象としてロビンフッドを挙げている。
フェーズ1はインフラのストレステストが目的で、今夏のフェーズ2では100以上のTradFi市場をオンチェーン化する計画だ。2026年のロードマップにはRWA市場の追加上場、流動性パートナーシップの拡大、トレーディングAPIのリリースが含まれている。シューマンCEOは「オムニ(Omni)の深い流動性が、RWA取引におけるリテールのゼロ・トゥ・ワンの瞬間を生み出す」と述べた。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.85円)



