米国初の連邦認可暗号資産銀行を傘下に持つアンカレッジ・デジタルは2日、エセナ・ラボとの提携拡大を発表した。同社の担保管理システム「Atlas Collateral Management」を通じて、エセナの機関投資家向け貸出活動を支える。
この仕組みでは、アンカレッジが担保管理者(コラテラル・マネージャー)を務め、エセナはローンへの投資を行う。
担保はオンチェーンに移さず、カストディに置いたまま
従来のDeFi貸出市場では、借り手が担保資産をオンチェーンのスマートコントラクトに直接預け入れる必要があった。暗号資産ネイティブの利用者には機能する一方、資産を適格カストディや分別口座に置く義務がある機関投資家にとっては、参入の障壁になっていた。
今回の仕組みでは、借り手の担保はオンチェーンへ完全に移すことなく、アンカレッジのカストディ環境に保管されたままとなる。アトラスが担保とローンの閾値をリアルタイムで監視し、証拠金プロセスを支え、必要に応じてルールベースの処理を自動実行する。
これにより借り手は、既存のカストディやコンプライアンス、リスク管理の体制を手放さずに、暗号資産ネイティブのクレジットへアクセスできる。エセナにとっては、オフチェーンの機関需要を取り込む経路が開ける。
アンカレッジ・デジタルの共同創業者兼CEOネイサン・マコーリー氏は「機関投資家は暗号資産ネイティブの資本にアクセスしたいが、カストディや統制、運用上の厳格さを犠牲にすることは望んでいない」とコメント。アトラスは、DeFiのスピードと機関投資家が求める基準を両立させるものだと説明した。
同社はこれを、DeFiプロトコルが機関の要件に適応し、機関がカストディや統制を損なわずにオンチェーンの利回りに触れられる「新たな標準」と位置づけている。
USDtb発行に続く協業、エセナは機関対応を加速
両社の協力関係はすでに広がっている。アンカレッジ・デジタル・バンクは、エセナが発行する機関グレードのステーブルコイン「USDtb」の米国発行体を務めてきた。今回の担保管理の統合により、提携はステーブルコインの発行・カストディからオンチェーンのクレジットインフラまでを横断する形となった。
エセナ・ラボの創業者兼CEOガイ・ヤング氏は「エセナは、暗号資産ネイティブの金融商品が、より高度な機関にサービスを提供する未来を見据えて構築している」とコメント。アトラスがその次の成長段階に必要な統制、カストディ、運用基準をもたらすとの見方を示した。
プロトコル側は、担保管理や監視、清算のインフラを自前で構築せずに機関向け貸出を広げられる。アンカレッジは、規制されたカストディと暗号資産ネイティブの資本市場をつなぐ役割を担い、DeFi貸出を初期の利用者層を超えて機関へと広げることを狙う。
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