機関投資家向けプライムブローカーのFalconX(ファルコンX)は19日、合成ドルステーブルコイン「USDe」を発行するEthena Labs(エセナ・ラボ、以下エセナ)と、10億ドル(約1,584億円)規模の担保付き融資枠を組成すると発表した。SPV(特別目的事業体)を通じて実施する。
USDeの裏付け資産を機関向け信用へ
枠組みでは、USDeを裏付ける資産から資金を拠出し、超過担保型の機関投資家向け信用供与に振り向ける。融資の担保は適格カストディアンが保管し、ファルコンXがオリジネーター、サービサー、担保管理者を兼ねる。
ファルコンXでクレジット部門を率いるクレイグ・バーチャル氏は、複雑な取引戦略から企業の財務管理、決済まで幅広い用途に対応する超過担保型の融資を提供できるようになると説明した。
エセナ創業者のガイ・ヤング氏は、担保付きの機関向け融資は金融において最大かつ最も持続的な収益源のひとつであり、オンチェーン資本はまだほとんど手を付けていないと述べた。
両社によると、今回はオンチェーン資本を担保付きの機関信用へ投入した事例として最大級のひとつにあたる。機関の借入需要の拡大に応じて規模を広げる方針だという。
ベーシス取引依存からの脱却が背景に
今回の枠組みは、USDeの収益構造に関わる。
USDeは現物を保有しつつ無期限先物で同量の売り建てを持つ、デルタニュートラルな構成でドルとの連動を保つ設計だ。保有者に還元される利回りは、主にファンディングレートから生まれてきた。
この方式は相場が上昇局面にあるときに機能する。買い建てが優勢ならファンディングレートはプラスに振れ、売り建て側が受け取る側に回るためだ。半面、下落局面ではレートが縮小し、マイナスに転じれば逆に支払う側となる。
エセナは今回、ベーシス取引とは別系統の収益源を確保することになる。同社は5月にも、ソラナ基盤のジュピターとビットワイズの提携により、USDeに特化した機関投資家向けレンディング市場が開設されている。
ただし、裏付け資産を貸付に振り向ける構造は、価格変動リスクの一部を信用リスクに置き換える行為でもある。超過担保と適格カストディアンによる保管が前提とされているものの、実際の実行額や借り手の内訳は公表されていない。
ファルコンXは2026年、EUのMiCA(暗号資産市場規制)に基づく認可を取得したほか、ブロックチェーンの取引・通信技術を手がけるbloXrouteを買収している。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.4円)




