オンチェーン分析のクリプトクアントに寄稿するアナリストのMorenoDV氏は20日、バイナンス向けに移動した利益状態のUTXO数が過去最大を記録したとの分析を公開した。短期保有者が損益分岐点に戻る局面で起きている点に注目している。
前回の記録は史上最高値圏、今回は戻り局面
UTXO(未使用トランザクションアウトプット)とは、受け取ったまままだ使われていないビットコイン
BTCの塊を指す。ビットコインは銀行口座のような残高ではなく、このUTXOの集合として管理される。
それぞれのUTXOには取得時の価格が紐づくため、現在価格がそれを上回っていれば「利益状態」、下回っていれば「損失状態」と判別できる。
今回の指標が示すのは、バイナンスへ向かった短期保有者(STH)の利益側UTXOの本数だ。20日にこれが10.9Kまで急伸し、過去の最高水準を更新した。

MorenoDV氏が重視するのは、前回の記録との条件の違いである。前回の極値は、ビットコインが史上最高値圏で取引され、投資家に大きな含み益を現金化する強い動機があった局面で現れた。今回はそれを上回る規模が、まったく異なる状況下で生じている。
ビットコインは現在、短期保有者の実現価格(STH Realized Price)に向けて戻している最中だ。この水準は最近の買い手の平均取得価格を示し、市場において最も重要な心理的境界のひとつとされる。
長期にわたって取得価格を下回る状態が続いた後、損益分岐点への回帰は、圧迫されてきた短期保有者にとって数週間ぶりの機会となる。意味のある損失を確定させずに資金を回収できるためだ。
同氏は、記録的な利益側UTXOの動きは、この安堵が動きうる供給をすでに活性化させ始めていることを示唆するとみている。
ただし、移動したコインがすべて売却されたわけではない。同氏はこの点を明確に断ったうえで、最も反応の速い層がリスクを落とす動機を持つ水準で、ビットコインが異常に高い売り側感応度に直面していると指摘した。
吸収されるか、跳ね返されるか
同氏は今後の判断基準として、供給が吸収されるかどうかを挙げる。
STH実現価格を持続的に回復し、SOPRが1を上回る水準を保ち、現物需要が改善するという条件が揃えば、買い手が損益分岐点付近の供給を吸収していると読める。SOPRは、動いたコインが取得時より高い価格で移動したかを示す指標で、1超は利益確定の優勢を意味する。

逆に跳ね返された場合は、まったく別の話になる。今回の戻りが、含み損を抱えた保有者を出口流動性に変えている可能性が出てくるためだ。
同氏はリスク評価を「ELEVATED(上昇)」とし、記録的な利益側の動きと短期保有者の損益分岐点による圧力が重なった状態だと整理した。市場が供給を吸収できるかを需要側が証明する必要があるとしている。
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