米資産運用大手フランクリン・テンプルトンが、ブロックチェーン基盤のマネー・マーケット・ファンド(MMF)「BENJI」を、自社の従来型ETFや投資信託に組み込む計画を進めている。ブルームバーグが20日、同社幹部の話として報じた。
SECが8月12日にノーアクションレターを発行
計画の前提となったのは、米証券取引委員会(SEC)投資運用局が8月12日付で発行したノーアクションレターだ。同社の登録ファンドが「Franklin OnChain U.S. Government Money Fund」(ティッカーFOBXX、トークン名BENJI)を保有することを認める。
対象となったのは、1940年投資会社法17条(f)およびルール17f-2の(b)(e)(f)の3項だ。いずれも紙の証券を金庫で保管する前提で書かれており、ブロックチェーン上で記録されるトークン化ファンドの持分には適合しなかった。
SECが判断の根拠としたのは、BENJIのハイブリッド型の記録管理だ。同社傘下の名義書換代理人Franklin Templeton Investor Servicesが、投資するファンド向けのウォレットを作成して秘密鍵を保持し、正式な株主名簿も管理する。
ブロックチェーン上の記録は、その代理人機能を置き換えるのではなく補完する位置付けとなる。
FTISはマルチパーティ計算とマルチシグネチャの技術を用いた管理機能を保持し、誤りの訂正、記録の凍結や移行、正式な持分記録の復元を行える。SECは、こうした運用上の保護措置12項目の充足を条件として今回の措置を認めた。
SECは、1992年にフランクリン向けに出した過去のノーアクションレターを先例として引用した。
ただし、ノーアクションレターは規則の変更ではない。記載された状況においてSEC職員が執行を勧告しないという意味にとどまり、委員会が正式に承認したものではない。SEC自身も、今回の判断はフランクリンの特定の保管体制に即したものだとしており、他の発行体が自動的に依拠できるものではない。
ETF130本超・820億ドルが対象、第4四半期にも
ブルームバーグによると、同社はBENJIをETFや投資信託の保有資産、あるいは担保として活用する方針だ。適用開始は第4四半期にも見込まれ、前倒しの可能性もあるという。ただし実施には、各ファンドの取締役会による承認が別途必要となる。
規模は小さくない。同社は世界で130本超のETFを運用し、資産は合計820億ドル(約13兆298億円)。投資信託は約7,900億ドル(約125兆5,310億円)にのぼる。一方、同社のトークン化MMFの運用資産は26億ドルだ。
つまり、従来型のETFや投資信託を購入した投資家が、自ら求めたわけではないのにトークン化資産を保有することになる。
同社のデジタル資産・イノベーション責任者サンディ・カウル氏は、より優れたMMFを選択肢として持つことで、資金をより精密に管理し、利回りを多く確保し、保有すべき現金流動性の量を厳密に管理できるようになると説明した。
BENJIはルール2a-7に基づく米国政府MMFで、2021年にステラ上で開始され、その後イーサリアムやソラナなど複数のチェーンへ拡大した。従来型MMFが1日1回の基準価額算出と限られた取引時間にとどまるのに対し、1時間ごとの基準価額算出と日中取引に対応する。
カウル氏は、SECがデジタルネイティブな商品を伝統的な金融商品の中で使えると認めたのは今回が初めてだとしたうえで、現金や担保として利用できるトークン化商品を今後さらに発行する方針を示した。
データ提供のrwa.xyzによると、トークン化資産の時価総額は過去1年で約380億ドル(約6兆382億円)まで拡大している。
関連:フランクリン・テンプルトン、暗号資産運用の新部門を設立
関連:オンド、フランクリン・テンプルトンのETF5銘柄をトークン化
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.9円)




