金融庁が、信託銀行などが発行するステーブルコインの税務手続きを見直す方針であることが明らかになった。24日の日本経済新聞の報道によれば、自動車や不動産など100万円を超える高額決済での利用を阻む手続きを緩和する方向だという。
高額決済の障壁である書類提出を不要に
日本では2023年施行の改正資金決済法により、ステーブルコインの発行が解禁された。発行の仕組みには主に信託型と資金移動業型があり、それぞれ異なる制約を抱えている。
資金移動業型は一度の発行額が100万円以下に制限される一方、信託型には上限がない。ただし信託型は、所有者が変わるたびに氏名や価格などを記載した書類を税務署へ提出する必要がある。所得税法上でも書類提出が求められており、こうした手続きが高額決済での利用を難しくしていた。
金融庁は相続税法や所得税法の改正を要望し、これらの書類提出を一律で不要にするよう求める方針だ。年末の税制改正大綱に向けて政府・与党で議論し、2027年度以降の実現を目指すという。
国内発行は2社、3メガバンクも共同発行を検討
報道によれば、現行制度が普及の障壁となるなか、国内のステーブルコイン発行者は2社にとどまっている。
SBIグループは6月、日本円に連動する信託型ステーブルコイン「JPYSC」を発行。現時点では規制の影響で決済利用が難しく、7月に開始した「JPYSCレンディング」など暗号資産運用サービスでの利用が中心となっている。
一方、JPYC株式会社が発行する日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」も流通量を拡大。JPYC infoによると、執筆時点のチェーン別総流通量は約28.5億JPYC、ホルダー数は7万1,532に達しており、カイアやポリゴン、イーサリアム、アバランチの4チェーンで流通している状況だ。
さらに、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクも、2026年度中の信託型ステーブルコイン共同発行に向けて検討を進めている。足元では企業間の資金決済など、限られた相手同士での利用が想定されているという。
JPYC岡部氏、資金移動業型の100万円制限に言及
今回の報道を受け、JPYC株式会社代表取締役の岡部典孝氏はXで、資金移動業型の100万円制限も緩和に向かう可能性があるとの見方を示した。
同氏は「裏は取ってない個人的な予想」と前置きしたうえで、その緩和は既定路線との見方を示した。そのうえで、資金移動業型の制限だけが緩和され、信託型に書類提出という事実上の譲渡制限が残れば、公正な競争にならないと指摘。こうした状況を避けるため、今回の税制改正要望が出されるのではないかと推測している。
現時点で、資金移動業型に適用される100万円制限の緩和は正式に確認されていない。信託型の税務手続きとあわせ、今後どのような制度変更が示されるかが焦点となりそうだ。
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