現実資産(RWA)のトークン化を手がけるOndo Finance(オンド・ファイナンス)は9日、米国株・株価指数・コモディティの無期限先物(パーペチュアル)取引所「Ondo Perps(オンド・パープス)」のパブリックベータ版を開始した。
最多取引は株でなく原油──初日から出来高66億円
提供はベータユーザーの第1陣からの段階開放で、現在はウェイトリストで登録を受け付けている。運営主体はパナマ法人のOndo Global (Panama) Inc.。米国・パナマ・制裁対象地域を除く海外ユーザーが対象だ。
CoinGeckoによると、ベータ開始翌日の6月10日時点で取引ペアは22、直近24時間の出来高は約4,117万ドル(約66億円)に達した。最も取引されたのはエヌビディアでもテスラでもなくWTI原油で、出来高は約978万ドル(約16億円)と全体の4分の1近くを占めている。
一方で建玉(OI)は約600万ドル(約10億円)にとどまり、現状は短期売買が中心とみられる。
取扱銘柄はAAPL、NVDA、TSLA、MSFT、META、AMZN、GOOGLなどの米国主要株に加え、US500・US100の株価指数、WTI原油・金・銀のコモディティ。レバレッジは最大20倍だ。
夜間・週末・米国祝日を含む24時間365日取引でき、注文方法は成行・指値・TWAP(時間加重平均価格)の3種類が用意されている。
トークン化株式を「そのまま証拠金に」──二重担保の解消狙う
最大の特徴は証拠金にある。USDCに加え、同社発行のトークン化株式をそのまま担保として差し入れられる。公式ドキュメントによると、こうした設計のパーペチュアル取引所は同社が初だという。
背景にあるのは、既存のRWAパープ取引所が抱える「二重担保」問題だ。証拠金がステーブルコイン限定のため、マーケットメーカーはパープ側にステーブルコインを置きつつ、ヘッジ用の現金と株式在庫を別途証券会社に置く必要があり、同じエクスポージャーに資本を2回ロックしてきた。
この構造はスプレッドの拡大と板の薄さに直結する。Ondo PerpsではNVDAパープを建てるマーケットメーカーがトークン化NVDAの保有で同一システム内のヘッジを完結できるため、制約が解消されるという。
技術面では、マッチングエンジンをSGXハードウェアエンクレーブ内で稼働させ、分散型のアテスター網がコードを独立検証する設計を採用。オンド自身を含む運営者が約定処理に介入できない仕組みと、中央集権型取引所並みの執行速度の両立をうたう。
基盤となるトークン化株式事業は急成長中だ。同社のOndo Global Markets(オンド・グローバル・マーケッツ)は発行市場で7割超のシェアを握り、5月11日にはTVL(預かり資産総額)が10億ドル(約1,600億円)を突破した。
CFTC方針転換の直後──日本からの利用可否は明示されず
ローンチのタイミングは米国の規制変化と重なった。米商品先物取引委員会(CFTC)は5月29日、カルシの「BTCPERP」を米国初の規制下パーペチュアル契約として承認。同日にはコインベースが海外関連会社経由で米国顧客にパープを提供する道筋も示した。
もっともOndo Perps自体は米証券取引委員会(SEC)にもCFTCにも未登録で、米国からのアクセスは厳格に遮断されている。
日本居住者の扱いも現時点で明示されていない。日本では金融商品取引法上、無登録の海外業者によるデリバティブ取引の勧誘は規制対象となっており、利用規約の制限地域リストが確認できるまで日本からの利用可否は不透明だ。手数料体系の詳細も未公表で、今後の開示が待たれる。
オンドでは5月25日に創業者ネイサン・オールマン氏の急逝が発表され、イアン・デ・ボーデ新CEO体制に移行したばかり。今回のローンチは新体制下で初の大型プロダクト投入となる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=160円)



