米金融大手JPモルガンの証券サービス部門は24日、ETFのトークン化に関するインサイト記事を公開した。同部門のETFプロダクト担当グローバル責任者、キアラン・フィッツパトリック氏は、トークン化がETFを含むファンド業界全体の市場変化を促すとの見方を示した。ただ、有望なユースケースの実現にはなお数年を要するとの認識も明らかにした。
ほぼ即時決済や市場アクセス拡大に期待
本記事では、ETFのトークン化により創設・償還プロセスの合理化、ほぼ即時の決済、24時間365日の市場アクセスが実現する可能性があるとしている。これらの機能向上が、ETFを含むファンド業界全体の構造変化につながると位置づけた。
JPモルガンは、トークン化ETFを合成型とネイティブ型の二つに分類した。合成型は、デリバティブ契約を通じて既存ETFの価格に連動する商品で、実資産は保有しない構造である。一方ネイティブ型は、ETFの持分そのものをブロックチェーン上で直接発行し、オンチェーンのトークンが証券としての保有記録となる。ネイティブ型は現在検証段階にあり、仲介手数料の削減や運用上の摩擦低減によるコスト圧縮が見込まれるとしている。
フィッツパトリック氏は「トークン化はETFだけでなく、ファンド業界全体の市場変化を確実に推進するだろう」と述べ、ETF領域を超えた波及効果に言及した。同社は独自プラットフォーム「Kinexys(キネクシス)」を通じて、ETFトークン化に関する概念実証(PoC)を進めている。
一方で同氏は、「トークン化はETFエコシステムの一部となるが、有望なユースケースが登場するまでにはあと数年かかる」と慎重な見方も示した。キネクシスを通じた概念実証についても、実用化までにはなお時間を要するという認識だ。
世界のETF運用資産残高は2025年時点で19.5兆ドル(約3,110兆円)に達し、2030年には35兆ドル(約5,583兆円)規模へ拡大するとの予測もある。こうした市場拡大を背景に、JPモルガンは段階的にトークン化の検証を進めていくとみられる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.5円)




