カルダノ創設者のチャールズ・ホスキンソン氏は16日、Anthropic(アンソロピック)の生成AI「Claude(クロード)」が出力に付与する印を除去するツール「Anthropies」を公開したとXに投稿した。ライセンスはApache 2.0で、GitHub上に置かれている。
3種類の印を対象、テキストは別モデルで書き直し
ツールが対象とするのは3種類の印だ。1つ目がテキストの語選択そのものに埋め込まれる透かし、2つ目が画像ファイルに付く署名済みメタデータの規格「C2PA」、3つ目がClaude Codeがコミットメッセージに書き込む「Co-Authored-By: Claude」の行である。
リポジトリは、2つ目と3つ目が決まった手順で削除できるのに対し、1つ目は語そのものが印であるため語を変えるほかないと整理する。
このためツールは、テキストの書き直しをClaudeやGeminiで行うことを明確に退け、透かしのない他社モデルを使うよう求めている。名称については、ホスキンソン氏がXで「Anthropic Herpies」の略だと説明した。
AnthropicはEU AI Actへの対応として8月に導入
アンソロピックは8月11日、サポートページで透かしの導入を公表し、14日には解説記事を掲載した。同社は導入の理由をEU AI Actへの対応と説明しており、2026年7月に約190の署名者とともにAI生成コンテンツの透明性に関する行動規範に署名している。
採用した方式は、Google DeepMindが2024年にNature誌の論文で発表した「SynthID-Text」のバージョンにあたる。どちらを選んでも意味が変わらない場面で語の選択に用いる乱数の源を、鍵に置き換える仕組みだ。文字は追加されず、隠し文字も存在しない。
対象は8月2日以降に公開したモデルで、それ以前のモデルには今後数か月かけて対応する。地域を限定して適用する手段がまだないため、世界全体に適用しているという。
透かしはコピー&ペーストしても残る。アンソロピックは、軽微な編集ではおそらく完全には除去されないとする一方、すべての語を置き換える書き直しであれば除去されると認めている。
コードは正確さが求められ選択の余地が少ないため、透かしは他の文章より薄くなる。画像などのファイルにはC2PAの content credential が付く。検出用のAPIは準備中とされる。
ホスキンソン氏が挙げる法的論点
リポジトリの後半は法的な主張に大きく割かれている。中心にあるのが、アンソロピックの利用規約が出力に関する権利を「規約の遵守を条件として」利用者に譲渡すると定めている点だ。
ホスキンソン氏は、この条件が満たされない場合には権利がそもそも移転しないという主張が成り立つとしたうえで、透かしがどの成果物を対象とするかを特定する役割を果たすと指摘する。
もう1つがコミットメッセージの「Co-Authored-By: Claude」だ。GitHubがこの行を解析して共同著作者として表示し、貢献履歴に数えることを踏まえ、共同著作物の意思表示として扱われうると論じる。あわせて、共同著作者が35年後に譲渡を終了できる米著作権法203条の権利にも言及した。
米国著作権局が、単に使用したという理由でAIツールやその提供企業を共同著作者として記載しないよう求めている点も挙げている。
これらはいずれも同氏側の主張であり、リポジトリ自身も法的助言ではないと断っている。
Anthropic側の説明との食い違い
アンソロピックは解説記事で、透かしが所有権や著作者性について何かを述べるものではなく、規約上の利用者の権利を変えるものでもないと明記している。透かしには識別情報が含まれず、特定の個人や組織、チャットにたどることはできないとも説明する。
ただし、Claude Codeのコミット行については同記事に記載がない。
リポジトリは、著作権管理情報の除去について米著作権法1202条が定めを置いていることにも自ら触れている。ホスキンソン氏のX投稿は表示6万件に達した一方、リポジトリのスターは4、フォークは1にとどまる。
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