非課税枠を20倍に拡大、投資家保護を強化した新課税制度
韓国政府は2025年から暗号資産(仮想通貨)取引による利益に対して20%の課税を開始する方針を固めた。ソウル新聞によると、非課税となる基礎控除額を年間5,000万ウォン(約559万円)に設定し、これを超える利益に対して課税する。当初案では控除額が250万ウォン(約27.5万円)に設定されていたが、今回の改正により20倍に引き上げられることで、多くの個人投資家が課税対象から外れる見通しだ。
課税対象となる収入は以下の通り:
- 仮想通貨の売買益
- マイニング収入
- ステーキング報酬
- エアドロップによる収入
- 新規チェーン分岐(ハードフォーク)による収入
韓国ではこれまで仮想通貨取引の利益は非課税であった。当初、この課税制度は2022年1月に施行予定だったが、投資家保護の観点から二度延期され、2025年からの施行が決まった。ソウル新聞によると、与党「国民の力党」は2028年までの更なる施行延期案を提出しているとのことだ。
延期の主な理由として以下が挙げられる:
- デジタル資産基本法(DABA)の整備が未完了
- 投資家保護制度の確立が必要
- 取引所の監督体制強化が急務
韓国の仮想通貨市場は急速に拡大しており、約778万人が仮想通貨取引に関与しているとされている。主要取引所であるUpbit(アップビット)は市場シェアの50%以上を占め、Bithumb(ビットサム)、Coinone(コインワン)、Korbit(コービット)が続く。
2022年に起きたTerra/LUNA(テラ/ルナ)の崩壊時、取引所間で統一された対応を取れなかったことから、投資家保護の重要性が再認識された。
韓国のユン・ソンニョル大統領は、Web3産業の育成に積極的な姿勢を示しており、適切な規制の枠組み作りを優先する方針だ。今回の課税制度の導入は、韓国が目指す仮想通貨ハブとしての地位確立に向けた重要なステップとなるとみられている。
アジア諸国では、タイが15%の課税案を撤回した一方で、インドは30%の重税導入後に取引量が90%以上減少するなど、課税政策が市場に大きな影響を与えている。日本でも現在、仮想通貨所得を株式取引と同様の20%の分離課税とする改正案が検討されており、韓国の動向が注目される。
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情報ソース:ソウル新聞