分散型取引所ハイパーリキッドの共同創業者ジェフリー・ヤン氏は3日、許可制市場に対応する追加機能「HIP-3*」を公式Discordで公表した。初版はすでにテストネットで利用できる。
HIP-3は、独立した開発者がコアチームの承認を得ずにパーペチュアル(無期限先物)市場をHyperCore上へ展開できる仕組みである。今回はその上に、参加者を制限するための機能が積み上がる。
既存市場は変更されない任意の追加機能

HIP-3*の中核は、デプロイヤーまたはそのサブデプロイヤーが管理するオンチェーンの許可リストである。市場の運営者が、誰を参加させるかを自ら決められるようになる。
ヤン氏は、この機能がHIP-3に対して厳密に追加的であり、使うかどうかはデプロイヤーの任意だと強調した。既存の市場は変更されない。アクセス制御を必要としないチームは、これまでどおりの運用を続けられる。
公式ドキュメントによれば、HIP-3*としての指定は、デプロイヤーが新しいパーペチュアルDEXを立ち上げる時点で行う。既存のDEXに銘柄を追加するタイミングではない。稼働中の市場に後から適用できるかどうかについては、記載がない。
ヤン氏は、ハイパーリキッドが金融システムの大部分を支えることを目標とする中立的なインフラ層であると述べた。HIP-3*は、デプロイヤーが自らに適用される要件に沿って運営するための追加機能だという位置づけである。
HIP-3と同様、HIP-3*のデプロイヤーも独立した運営者であり、自らの展開に対する統制と責任を保持するとしている。
運営者は利用者の注文と証拠金にも介入できる
公式ドキュメントを読むと、HIP-3*が許可リストだけの機能ではないことがわかる。ドキュメントは「許可リストと代理ユーザーアクション」と記しており、後者に5つの操作が定義されている。
デプロイヤーが実行できるのは、許可リストへの追加と削除(modifyApproval)、利用者の未約定注文の取消(cancel)、当該DEX上の未約定注文とTWAPの全取消(cancelAll)の3つだ。
さらに、利用者に代わっての発注(order)と、利用者の証拠金を同じDEX内の別アカウントへ移す操作(sendAsset)が加わる。
代理発注については制約がある。すべての注文がreduce-onlyでなければならず、ポジションを拡大する方向では執行できない。
これらの操作は、サブデプロイヤーへ個別に権限を付与できる。取消だけを任せる、発注だけを任せるといった分担が可能な設計になっている。
注文の取消、代理でのポジション縮小、証拠金の移管。いずれも規制対象の取引所や清算機関が制度上求められる機能にあたる。強制決済や口座移管に対応する必要のある運営者にとっては、これがなければ事業を成立させられない部分である。
米国での提供が決まったわけではない
ハイパーリキッドの告知では、用途の例が2つ挙げられた。米国の投資家が特定の市場へアクセスできるようにすること、そして厳格なルールを持つ機関投資家に対応することである。
いずれも、参加者を絞り込めなければ成立しない類の市場だ。現在のHIP-3市場は誰でも取引できるため、法域ごとに提供先を分ける必要のある運営者は、そもそも運営の前提を満たせない。
審査を通した相手としか取引できない機関投資家についても事情は同じである。許可リストがあれば、運営者が自ら審査した利用者だけが入れる市場を、ハイパーリキッドと同じインフラの上に立てられる。
ただし、これは提案が示した用途例であり、米国での提供開始や規制当局の承認を意味しない。
許可リストがオンチェーンで判定するのは「このウォレットがこの市場で取引してよいか」という一点にとどまる。ウォレットの管理者が誰か、なぜ適格なのか、その商品が特定の法域の規則に適合するかは証明しない。
検証済みの顧客や機関限定の顧客に対応する運営者は、適格性の確認、顧客審査、開示、法令遵守についてオフチェーンの手続きを別途整える必要がある。許可リストはその結果をウォレット単位で反映する仕組みにすぎない。
なお、ハイパーリキッド・ラボがクラーケンの親会社ペイワードと進めている米国参入の協議は、今回のテストネット公開とは別件である。傘下のビットノミアルを通じた構想はCFTC(米商品先物取引委員会)の承認待ちの状態にある。
テストネット上の仕様は暫定で、フィードバックに応じて変更される可能性があるとしている。
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