暗号資産(仮想通貨)の投資信託が日本で解禁される見通しとなり、証券業界が一斉に動き出している。SBI証券と楽天証券が販売方針を固めたほか、野村証券など大手対面証券11社も制度整備次第で販売を検討していることが、16日の日本経済新聞の報道で明らかになった。
SBIは一貫体制、楽天はアプリ対応で戦略に違いも
背景にあるのは、金融庁が進める制度改革だ。同庁は2028年までに投資信託法の施行令を見直し、投信が投資対象とできる「特定資産」の範囲に暗号資産を加える方針を示している。これが実現すれば、運用会社はビットコイン(BTC)をはじめとした主要銘柄を組み入れた投信やETF(上場投資信託)を設計・販売できるようになる。
報道によると、SBI証券はグループ傘下のSBIグローバルアセットマネジメントと連携し、投信・ETFの開発から販売まで一貫体制で臨む方針を打ち出しているという。
今月1日にSBIグループが公表した決算報告では、同グループがリップル社株式の約9%を保有する主要株主であることに加え、XRPの資産運用・価値向上を目指す米エバーノース社へ2億ドル(約317億円)の出資、グループ6社によるXRPを活用した株主優待の実施など、暗号資産事業への関与を多方面に広げている状況が示された。こうした暗号資産分野での蓄積が、投信商品の開発にも活かされるとみられる。
一方、楽天証券も楽天投信投資顧問を中心にグループ内で商品設計を進めており、スマホアプリでの売買にも対応する方針だ。大手対面証券では野村証券と大和証券がそれぞれグループ内での商品開発に着手しているほか、みずほフィナンシャルグループ傘下のアセットマネジメントOneも参入を検討しているという。
税率引き下げと制度整備が同時進行、暗号資産投信の追い風に
証券各社の動きを加速させているもうひとつの要因が税制の変化だ。政府が今年4月に閣議決定した金商法改正案が成立すれば、2027年度から仮想通貨の売却益への課税が最大55%の総合課税から20%の分離課税へと切り替わる。株式と同様に税率が大幅に軽減される見込みだ。
最大55%の税率は、「利益が出ても確定しづらい」という投資家の不満につながる要素だった。これが株式並み税率になることで、暗号資産を資産運用の一部として捉える投資家の動きが拡大する可能性は十分に考えられる。
海外での暗号資産ETFの上場・アクセスが拡大する中、日本の投信解禁はこうしたグローバルな流れに追随する動きといえる。税制改正と制度整備の同時進行によって、暗号資産はより幅広い個人が証券口座を通じてアクセスできる金融商品へと転換を迎えることになりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.8円)



