国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は17日、暗号資産投資プラットフォーム「フォルサージュ(Forsage)」を利用した大規模な詐欺事件に関与したとして、ウクライナ国籍のオレナ・オブラムスカ被告がタイから米国へ引き渡されたと報じた。
被害者の80%以上が損失を被ったポンジスキームの実態
オブラムスカ被告は、2019年にフォルサージュを立ち上げた4人の共同創設者の1人であり、自らを「ゴッデス(女神)」と称してSNSやオンラインマーケティングで同プラットフォームを世界中に宣伝していた。フォルサージュは「合法的で低リスクかつ高収益な投資」として参加者を募っていたが、実態は新規投資家の資金が自動的に初期の参加者に分配される典型的なポンジ・ピラミッドスキームであった。この仕組みにより、世界中の投資家から約3億4,000万ドル(約539億円)が騙し取られたとされている。
ブロックチェーンの分析結果によると、フォルサージュの参加者の大半が資金を失っていることが判明している。具体的には、投資家の80%以上が支払った暗号資産よりも少ない額しか受け取っておらず、半数以上は一切の支払いを受け取っていなかった。また、創設者らは「50人がミリオネアになった」と主張していたが、実際に100万ドル以上の暗号資産を受け取っていたのは、被告らが管理する1つのユーザーIDのみであったことが確認されている。
オブラムスカ被告は今年2月、タイのプーケットにあるコンドミニアムでタイ・サイバー犯罪捜査局(CCIB)によって逮捕され、スマートフォンやコンピュータ機器などが押収された。その後、5月上旬に米国へ引き渡され、12日にオレゴン州連邦地裁に初出廷して無罪を主張している。同被告は電信詐欺の共謀罪で起訴されており、有罪となれば最大20年の連邦刑務所での禁錮刑と25万ドルの罰金が科される可能性がある。
なお、フォルサージュの運営を主導・管理していたとされるロシア人のウラジーミル・オホトニコフ被告は、現在もアラブ首長国連邦(UAE)に逃亡中である。オホトニコフ被告は、ケビン・スペイシー主演の映画「Peter Five Eight」の共同プロデューサーを務めるなど異色の経歴を持ち、複数の国の規制当局が警告を発した後もプラットフォームの宣伝を続けていた。米証券取引委員会(SEC)も関連する個人に対して民事訴訟を提起している。
暗号資産を利用した国境を越えた詐欺事件に対して、各国の捜査機関が連携して摘発を進める姿勢が鮮明になっている。今回の引き渡しは、逃亡先の国であっても法の裁きを免れることは難しいという強力なメッセージとなり、今後の暗号資産市場の健全化に向けた重要な一歩となるだろう。
関連:JPモルガン、仮想通貨ポンジ詐欺の幇助で集団訴訟──被害総額約520億円
関連:ジョンソン元英首相「ビットコインは巨大なポンジースキーム」
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.76円)



