英国の金融行為監視機構(FCA)は22日、違法なピアツーピア(P2P)暗号資産(仮想通貨)取引に対する初の一斉摘発を実施したと発表した。英国歳入関税庁(HMRC)および南西部地域組織犯罪対策ユニット(SWROCU)との合同作戦として、ロンドン市内の8拠点を対象に立入検査を行い、全拠点で業務停止命令(cease and desist)を発出した。
登録済みP2Pトレーダーは英国内にゼロ
P2P取引は、個人同士が中央集権型取引所を介さずに暗号資産を直接売買する形態を指す。英国法上、この事業を行うにはFCAへの登録が必要だが、FCAによると現時点で登録を受けたP2Pトレーダーやプラットフォームは英国内に存在しない。つまり、英国で営業しているP2P暗号資産業者はすべて無登録の違法事業者ということになる。
FCA執行・市場監督担当エグゼクティブディレクターのスティーブ・スマート氏は、無登録のP2Pトレーダーは違法であり金融犯罪リスクをもたらすと指摘した。SWROCUのロス・フレイ警部も、無登録業者が犯罪収益の移動や偽装に利用される可能性があるとの見解を示している。
今回の立入検査で押収された証拠は、複数の進行中の刑事捜査に活用されている。法的根拠はマネーロンダリング・テロ資金供与・資金移転規則(2017年)に基づく措置で、FCAとしてP2P取引を対象にした一斉摘発は初めてとなる。
FCAはこれまでにも無登録の暗号資産ATM運営者の刑事訴追や、2024年6月には違法な暗号資産取引所の運営者2名の逮捕を行っている。今回のP2P取引への摘発は、一連の執行活動の延長線上に位置づけられる。
英国政府は2027年10月までに暗号資産の包括的な規制体制を構築する方針で、ライセンス申請の受付は2026年9月に開始される見通しだ。現行の規制はマネーロンダリング防止と金融広告規制が中心だが、今回の摘発は本格的な規制体制への移行期において、当局が執行面でも積極姿勢を強めていることを示している。




