欧州の暗号資産運用会社コインシェアーズは23日、データ分析企業トークン・ターミナルと共同で「ハイブリッド・ファイナンス 2026年第1四半期レポート」を公開した。伝統的金融とブロックチェーンが融合し、単一のシステムへ統合される現状をデータで示している。
米国債・金・株式のオンチェーン化が加速、データで見る需要のシフト
レポートはこの新領域を「ハイブリッド・ファイナンス」と定義。具体的には「現実資産のトークン化」「収益を生むアプリ」「決済基盤(チェーン)」の3要素で構成されるとし、すでにデータで計測可能な市場構造へと進化したと指摘している。
第一の柱:現実資産のトークン化市場
ハイブリッド金融を構成する第一の柱が、現実資産をブロックチェーン上で扱うトークン化市場の急成長だ。米国債などを裏付けとするトークン化ファンドの運用残高は前年比181.3%増の90億ドル(約1.4兆円)に達し、大手金融機関などが牽引している。
暗号資産企業が後押しするトークン化株式も、1年前から約27倍の7億7,330万ドル(約1,232億円)へと急拡大した。金を裏付けとするトークン化コモディティも49億ドル(約7,811億円)へと成長し、安全資産への需要がブロックチェーン上で実体化している。
これら取引の土台となるステーブルコインの市場規模は前年比37.2%増の2,976億ドル(約47兆円)に達した。約6割がイーサリアム上で発行されており、ハイブリッド金融において最も成熟したセクターとなっている。
第二・第三の柱:アプリとチェーンの収益構造
第二の柱である「収益を生むアプリ」も急速に台頭している。取引所などオンチェーン活動から直接手数料を稼ぐ主要事業者の第1四半期収益は5億8,790万ドル(約937億円)に上り、すでに伝統的な金融サービスに匹敵する規模に成長した。
特に分散型取引所のハイパーリキッドは、独自の決済基盤(第三の柱)とアプリを併せ持ち、単体で1億7,870万ドル(約284億円)の収益を記録した。収益の96%を取引活動から得ており、顧客接点を持つアプリ側が莫大な利益を上げている。
市場の価値は「資産」「アプリ」「チェーン」の順で循環する。現在の構造では、莫大な資産を支えるだけのチェーン本体よりも、顧客を直接抱えるアプリ側に最大の収益が集中しているとレポートは結論づけた。
レポートが示す通り、ハイブリッド金融の要は「誰が顧客を握るか」に移行した。イーサリアムなど基盤チェーンは莫大な資産を抱えつつも手数料依存から抜け出せていない。今後は自ら高収益なアプリを統合する戦略への転換が必須となるだろう。
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