ボリビア中央銀行(BCB)は15日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)「ボリビアーノ・デジタル」の導入に関する第一次評価報告書を公表した。
金融機関向け「ホールセール型」に明確な利点
報告書は、CBDCの導入可能性について、一般市民向けの「リテール型」と金融機関向けの「ホールセール型」の両面から分析している。
BCBの初期評価によると、ボリビアではすでに効率的なデジタル決済システムが急速に普及しているため、リテール型CBDCがもたらす追加的なメリットは現時点で「限定的」であると結論づけた。
一方で、金融機関間の高額決済に用いられるホールセールCBDC(CBDC mayorista)については、「決済の効率性、トレーサビリティ、安全性を最適化できる、より明確な機会がある」と指摘。ホールセール型がボリビアの金融システムの現状により大きく貢献できる代替案であるとの見解を示した。
既存決済システムの評価
報告書がリテール型のメリットを限定的と評価した背景には、ボリビア国内における既存の決済インフラの急速な発展がある。
BCBは、決済システムがすでに安全かつ効率的に機能しており、特にQR決済「QR BCB Bolivia」の導入により、高い相互運用性も達成されていると分析。2020年のパンデミック以降、電子送金やモバイルウォレットなどのデジタル決済は飛躍的に成長しており、「リテールCBDCが担うべき機能の多くが既存の手段によって満たされている」とした。
ただし、金融アクセスポイントは依然として都市部に88%が集中しており、農村部へのサービス拡大は課題として残っている。
ホールセールCBDCに期待される役割
BCBは、ホールセールCBDCの導入を、国の金融システムを強化する「戦略的機会」と位置づけている。
期待される具体的な利点としては、金融政策実行の改善、流動性管理プロセスの自動化、国債発行や流通の効率化などが挙げられた。
また、将来的には他の決済システムとの相互運用性を確保し、特に近隣諸国との国境を越えた決済を円滑化する役割も期待されている。
BCBは、今回の報告書を「第一次」と位置づけており、CBDCの導入は段階的に進める方針を示している。今後は2026年にかけて、金融システムの利害関係者や一般市民との協議、およびCBDCに関する国民認識調査を実施する計画であるとした。そしてこれらの結果を踏まえ、2026年第4四半期までに第二次評価報告書を作成し、公表する予定となっている。
ボリビアの取り組みは、CBDCの本格的な利用を目指す先進的な事例と言えそうだ。特に「決済インフラの普及がすでに進んでいる」という面は、日本とも状況が似ているため、将来的な国内における議論においても参考にすべきだろう。
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