韓国最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所Upbit(アップビット)は17日、日本円ステーブルコインのJPYCと、米ペイパル系のドル建てステーブルコインPYUSD
PYUSDの取扱いを開始すると発表した。告知は同日9時48分で、取引開始は12時を予定する。韓国と日本に時差はないため、日本時間でも同じ12時となる。
ウォン建てを含む3市場に同時上場
2銘柄はいずれもウォン(KRW)、ビットコイン(
BTC)、テザー(
USDT)の3市場に同時上場する。対応ネットワークはどちらもイーサリアムのみで、入出金は告知から1時間30分以内に開始される。
取引開始直後には制限がかかる。開始からおよそ5分間は買い注文が制限され、同じく5分間は前日終値比マイナス10%以下の売り注文が制限される。開始後およそ2時間は指値以外のすべての注文タイプが使えない。基準となる価格はコインマーケットキャップの提供値を用いる。
アップビットが示した9月17日9時40分時点の価格は、JPYCが8.81ウォン、PYUSDが1,376.68ウォンだった。
この2つの値付けから逆算すると、1ドルはおよそ156.3円となる。JPYCのUSDT建て価格0.00639USDTの逆数からも約156.5円が導かれ、実勢の為替水準とおおむね整合する。円建てステーブルコインが海外の取引所で、事実上の為替レートとして値付けされる状態になった。
国内取引所では扱われてこなかった
JPYCの発行主体はJPYC株式会社である。2025年8月に資金決済法第37条に基づく資金移動業者の登録を完了し、同年10月から電子決済手段に該当するJPYCの正式な発行を開始した。利用者は日本円と1対1の比率で発行と償還ができる。
ただし国内では、コインチェックやビットフライヤーといった暗号資産取引所での取扱いがない。JPYCが暗号資産ではなく電子決済手段に分類されるためで、入手経路は公式プラットフォーム「JPYC EX」での発行か、DEX(分散型取引所)での交換に限られてきた。
今回の上場により、大手中央集権型取引所の板で売買される形が生まれる。しかもその舞台は国内ではなく韓国である。
上場するのは流通量7%のイーサリアム版
アップビットが告知したJPYCのコントラクトアドレスは0xE7C3D8C9a439feDe00D2600032D5dB0Be71C3c29で、JPYC側が公開するイーサリアム版のアドレスと一致する。同じアドレスはポリゴン、アバランチ、カイアの各チェーンでも使われているが、アップビットが入出金を受け付けるのはイーサリアムのネットワークのみとなる。
ここに偏りがある。オンチェーン情報サイト「JPYC info」によると、9月17日10時23分時点のJPYCの総流通量は約18億9,963万JPYC(1JPYC=1円換算で約19億円)。チェーン別の内訳は次の通りとなる。
| チェーン | 流通量(JPYC) | 構成比 | 保有者数 |
|---|---|---|---|
| Kaia | 902,142,943 | 47.5% | 5,566 |
| Polygon | 766,761,273 | 40.4% | 41,193 |
| Ethereum | 133,051,336 | 7.0% | 2,135 |
| Avalanche | 97,678,887 | 5.1% | 23,519 |
イーサリアム上にあるJPYCは約1億3,305万JPYC(約1億3,305万円)で、全体の7.0%にすぎない。保有者数で見ると2,135人で、全体7万2,413人の2.9%にとどまる。流通の中心はカイアとポリゴンにあり、アップビットが選んだのは最も薄いチェーンだった。
韓国の利用者がアップビットへJPYCを持ち込むには、イーサリアム版を用意する必要がある。他チェーン上のJPYCをそのまま送ることはできない。
なお同サイトの9月16日確定値では、累計の総発行額が約80億852万JPYC、総償還額が約61億3,538万JPYC。日次の取引量は約2億7,526万JPYCだった。
関連:ハウス食品グループ、JPYCを景品にキャンペーン──万博SBT保有者は当選10倍
関連:ハッシュポート、NFT売買にJPYC決済導入──ポケカオリパも販売開始


