USDCの発行元であるサークルは16日、金融市場やリアルタイム決済、AIエージェントによる経済活動に特化したレイヤー1ブロックチェーン「Arc(アーク)」のメインネットをローンチした。USDCがガス代として使用でき、世界的な大手金融機関が創設バリデーターとして参加している。
USDCを軸に24時間稼働する金融インフラを構築
サークル社はアークを単なるブロックチェーンではなく、「インターネットの経済オペレーティングシステム」と位置づけている。決済や外国為替、取引、融資、資産発行など、幅広い金融活動をオンチェーンで支える基盤とする構想だ。ジェレミー・アレールCEOは、USDC自体の発表以来、同社の歴史で最も重要なローンチだと述べている。
そのため、ネットワーク手数料はUSDCで支払える仕組みを採用しており、ガス代のために価格変動のある別の暗号資産を用意する必要がない。取引は1秒未満で確定する設計で、USDCやEURC、トークン化された現実資産(RWA)を扱うことも想定している。
EVM互換のため、既存のSolidityコントラクトは書き換えなしで移行できる。テストネットは2025年10月に公開されており、1年足らずで7億件を超えるトランザクションを処理したという。
企業や金融機関による利用も重視しており、取引内容や残高を必要に応じて非公開にできるプライバシー機能を開発中だ。今後は、機密取引やAIエージェントの身元・活動記録を検証できる仕組みの開発も進める計画である。
主要DeFiや大手金融機関が参加
エコシステムには100以上のプロジェクトが初期から参加している。ユニスワップやアーベといった主要DeFiが稼働するほか、米ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」などの現実資産(RWA)も扱えるなど、流動性の高い資産が提供されるという。
創設バリデーターは11機関で、ブラックロックやマスターカード、ビザのほか、米証券保管振替機関のDTCC、ICE、ギャラクシー、グローバルペイメンツ、マネーグラム、スタンダードチャータードが名を連ねる。日本からはSBIグループと住友商事が参画した。SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は、「単なる利用者にとどまらず、初期バリデーターとして運営やガバナンスに貢献していく」と表明している。
もっとも、バリデーターはサークルが選定するパーミッションド型である。コントラクトの展開や取引は誰でも行えるが、ブロックの検証を担えるのは同社が認めた機関に限られる。
さらに北尾氏は、SBI新生信託が発行する円建てステーブルコイン「JPYSC」とUSDCを活用し、サークル社との協業を深める姿勢を示した。なお、Arcの為替機能では同じく日本円に連動する「JPYC」もサポートされる。
上場企業初の独自トークン発行、PoS移行も見据える
また、米国内で独自トークン「ARC」のジェネシスミントを完了し、総供給量となる100億トークンを発行した。上場企業として初めてレイヤー1のネットワークトークンを発行した事実も公表している。
このARCトークンは、将来的なネットワークのセキュリティやガバナンスの調整役として機能するよう設計されたという。同社はこれを、2027年に予定するプルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行に向けた技術的なマイルストーンと位置づけており、ARCの公開ローンチを現時点で確約するものではないと説明している。
USDCによるガス代支払いや1セント未満の送金コストは、価格変動リスクを嫌う機関・個人の参入障壁を大きく下げる。日本円ステーブルコインへの対応や国内大手の参画も日本の投資家には朗報だ。公開未定とはいえARCが発行されたことで、初期エコシステム利用を通じたエアドロップを狙う動きが活発化しそうだ。
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