米上院は15日、暗号資産(仮想通貨)の市場構造を定める「クラリティ法案」の審議入りに向けた手続き投票を49対50で否決した。可決に必要な60票へ11票届かず、法案の本格審議入りは見送られている。共和党の交渉担当者は前日に最終案を公表したものの、民主党との隔たりを埋められない結果となった。
必要な60票に届かず、民主党は現行案に反対
採決では、民主党から賛成票は出ず、共和党からもコリンズ、ホーリー、モランの3氏が反対に回った。ティリス氏も反対票を投じているが、これは再考動議を提出する権利を確保するための手続き上の投票である。否決されたのは審議入りに必要な討論終結動議で、法案そのものの採決には至っていない。
民主党側では、暗号資産法制の必要性を認めながらも、現行案の内容を問題視する声が上がった。エリザベス・ウォーレン上院議員は採決前、同法案を「意味のある規制に向けた最初の機会」と評価。そのうえで、政府高官の暗号資産投資への規制や国家安全保障、消費者保護などが不十分だとして反対している。
同氏が特に問題視したのが倫理規定だ。現行案は、公職者に「重大な金融上の利害」の売却または白紙委任信託への移管を求めているが、ウォーレン氏は大統領に対する法執行を司法省が判断するため、実効性に欠けると批判した。
一方、ウォーレン氏は法制化そのものには前向きで、民主・共和両党や業界関係者と改めて協議する考えを示しているという。
予測市場で年内成立への厳しい見方が強まる
予測市場ポリマーケットでは、クラリティ法案の2026年内成立確率は10日ごろに15%前後だったが、14〜15日には一時30%を超えていた。しかし、その後は急速に低下し、執筆時点で5%となっている。
同市場では、法案が12月31日までに上下両院を通過し、大統領の署名を得た場合に「成立」と判定される。審議入りが見送られたことで、年内成立には手続き投票をやり直し、その後の審議を短期間で進める必要がある。下院は9月17日から中間選挙後まで通常の立法日程を離れており、上院が法案を修正して送り返しても審議する時間は限られる。
再協議はレームダック会期へ持ち越しか
成立予測が低下する一方、議員からは法案が再び審議される可能性を指摘する声も出ている。
記者のエレノア・テレット氏は、共和党のジョン・ケネディ上院議員が民主党側も暗号資産市場の規制枠組みが必要だと理解しているとの認識を示したとXで共有。そのうえで、法案は終わったわけではないものの、中間選挙後から新議会発足前までの「レームダック会期」を待つ必要があると述べた。
また、テレット氏は、共和党のテッド・クルーズ上院議員も同様に法案の再浮上へ期待を示したと伝えた。クルーズ氏は、民主党が政治的な駆け引きを優先し、暗号資産関連の事業や雇用を海外へ流出させていると批判したという。
今回の否決で年内成立の可能性は大きく後退したが、共和・民主両党からは協議を続ける意向も示されている。再考動議が提出されたことで、上院が同じ法案を再び採決に付す手続き上の道は残っている。
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