暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンの親会社であるペイワードは16日、米国の顧客向けにオンチェーンの無期限先物(パーペチュアル)市場を展開する意向を発表した。最初の対象はハイパーリキッドのHIP-3市場で、同プロトコル初のビルダー展開型パーミッションド無期限市場にあたる。規制当局の承認が前提となる。
DeFiの上に規制の器を載せる設計
この計画の要は、どこで取引が行われ、誰が規制上の義務を負うかを分離した点にある。
市場はハイパーリキッドのパブリックブロックチェーン上で稼働し、オンチェーンのオーダーブックが約定の照合と記録を担う。一方で、HIP-3のデプロイヤーとなるのはペイワード傘下のビットノミアルである。同社が市場を作成し、所有し、管理したうえで、契約の清算と決済を行う。
顧客口座を保有するのは、同じくペイワード傘下のニンジャトレーダー・クリアリングだ。取引できるのは同社がオンボーディングし、かつニンジャトレーダーとビットノミアル双方の許可リストに載った口座に限られる。
米国の無期限先物を担う3法人の位置づけは次の通りとなる。
| 法人 | 登録区分 | 役割 |
|---|---|---|
| ビットノミアル・エクスチェンジ | CFTC規制下の指定契約市場(DCM) | 市場の作成・所有・管理 |
| ビットノミアル・クリアリングハウス | CFTC登録のデリバティブ清算機関 | 契約の清算・決済 |
| ニンジャトレーダー・クリアリング | CFTC登録の先物取次業者、NFA会員 | 顧客口座の保有 |
米国デリバティブ責任者のジョン・ファム氏は、米国の顧客はペイワードの登録ブローカーで先物口座を開設し、ハイパーリキッド上で新たな無期限先物を取引することになると説明した。清算を担うのは、同社が現在すでに米国顧客へ提供している暗号資産の無期限契約と同じ清算機関だという。
上場は、規制当局の承認を条件にビットノミアル・エクスチェンジの規則のもとで行われる。
建玉の98%を1社が握る市場
共同CEOのアージュン・セシ氏は、ハイパーリキッド上で複数の事業者がビルダー展開型の無期限市場を運営しているものの、1社が建玉の98%を保有していると指摘した。そのうえで、米国の登録取引所や清算機関がそこに市場を展開した例はなく、ペイワードが最初になる意向だと述べている。
市場規模も示された。無期限先物は2016年から米国外で取引されており、コインゲッコーの2026年版レポートによれば2025年だけで85兆ドル(約1京3,269兆円)超が取引された。
ハイパーリキッドは2023年の稼働以来、コインゲッコーが2025年のオンチェーン無期限取引で最も活発な場と評価した。ディファイラマのデータでは直近30日の取引高が2,000億ドル(約31兆2,200億円)を超える。
ペイワード自身は2011年から190を超える国と地域で事業を展開しており、2026年6月30日時点の入金済み口座は660万。第三者会計士がレビューした準備証明では、顧客資産が100%超の裏付けを持つとしている。
2週間前の観測報道が公式発表に
ハイパーリキッドの米国参入をめぐっては、9月1日にブルームバーグがペイワードとの協議を報じていた。今回の発表は、その観測が当事者の意思表明として確認された形になる。
ペイワードはこの3週間で、9月10日にナスダックとのトークン化株式をめぐる関係深化、14日にxStocksのボールト提供を相次いで発表している。今回はその流れに連なる。
ただし現時点で稼働はしていない。発表は意向の表明であり、規制当局の承認が前提となる。取引の対象も米国の顧客で、ニンジャトレーダーがオンボーディングした許可リスト上の口座に限られる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.1円)


