日本円ステーブルコインのJPYCが17日、韓国大手取引所Upbit(アップビット)への上場直後から急騰した。1JPYC=1円という想定水準を大きく上回り、分散型取引所(DEX)では一時3倍を超える価格差が生じた。JPYC株式会社は同日夜、イーサリアムとポリゴンの両ネットワークで発行予約を一時停止し、いずれも18日未明までに復旧した。
JPYCがアップビット上場直後に3倍超まで乖離
アップビットは17日、JPYCを韓国ウォン、ビットコイン、テザーの3市場で扱うと発表し、同日18時に取引を開始した。入出金に対応するネットワークはイーサリアムのみで、同チェーン上のJPYCは全流通量の約7%にとどまる。
取引開始前にアップビットが示していた価格は1JPYC
JPYC=8.81ウォンだった。韓国メディアの聯合ニュースによると、17日18時42分時点では始値比197.5%高の35.7ウォンで取引されており、同じ時間帯のグローバル価格9.65ウォンの3倍以上に達していた。
DEXでも同様の歪みが生じた。データサイトのコインゲッコーによると、17日20時30分に1JPYC=約0.02ドルの高値をつけた。1ドル=155.7円で換算すると約3.11円にあたり、100万円分のJPYCが約311万円相当のドルに交換できる計算になる。

X上では、実際に交換した利用者の報告が相次いだ。
チェーンごとに異なる乖離
乖離の度合いはチェーンによって異なる。18日0時すぎに100万JPYCをUSDCへ交換した場合の受取額は、次の通りだった。
| チェーン | 受取USDC | 1JPYC当たり | 円換算 | 想定値比 |
|---|---|---|---|---|
| イーサリアム | 11,042.65 | 0.011043 USDC | 約1.72円 | 1.72倍 |
| ポリゴン | 10,623.76 | 0.010624 USDC | 約1.65円 | 1.65倍 |
| アバランチ | 6,421.53 | 0.006422 USDC | 約1.00円 | 1.00倍 |
アップビットが対応するイーサリアムだけでなく、対応していないポリゴンでも1.65倍の乖離が続いている。両者の差は3.9%で、ほぼ連動する動きとなった。
一方、アバランチは0.006422USDCで、想定値の0.006423USDCとほぼ一致した。こちらでは乖離が生じていない。
ピーク時の約3.11倍からは縮小が進んでいる。
発行予約は2チェーンで停止し、いずれも復旧
JPYCはJPYC株式会社が発行する日本円建てステーブルコインで、資金決済法上の電子決済手段にあたる。利用者は日本円と1対1の比率で発行と償還ができる。
この発行価格とDEX上の価格に開きが出たことで、発行したJPYCを自身のウォレットでUSDCへ交換する動きが広がった。ウォレットをDEXやDEXアグリゲーターに接続する方法のほか、ウォレット内蔵のスワップ機能を使う経路もある。
同社は17日20時34分、イーサリアムネットワーク上のJPYC発行予約を一時停止したと発表。22時19分にはポリゴンネットワーク上の発行予約も一時停止した。いずれも「障害情報」として告知し、原因は調査中としている。
23時43分、同社はイーサリアム上の発行予約が復旧したと発表。18日0時22分にはポリゴン上の発行予約も復旧し、現在は通常どおり利用できるとした。停止はいずれも数時間で解除されたことになる。
発行予約が停止された2チェーンは、価格の乖離が確認されたイーサリアムとポリゴンに一致する。乖離がなかったアバランチでは停止されていない。同社は停止の原因を公表していない。
ステーブルコインであっても、新規上場の直後は取引所ごとに流動性が分断され、想定される水準から価格が離れることがある。
ただし乖離がいつ解消するかは見通せない。高値で取得した場合、価格が1円付近へ戻る過程で損失が生じる。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.7円)


