英国投資家約1,700人が暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンスと創業者チャンポン・ジャオ(CZ)氏を相手取り、少なくとも1億5,000万ポンド(約323億円)の損害賠償を求めてロンドン高等法院に提訴したことが明らかになった。6月30日、ロイターが報じている。
原告側は2019年後半からの販売を問題視
今回の訴訟は、ケイマン諸島登録のバイナンス・ホールディングス、アラブ首長国連邦登録のネスト・エクスチェンジ、CZ氏、そしてバイナンス取引プラットフォームを運営する「氏名不詳者」を相手取っている。
報道によると、原告側はバイナンス関連事業体が2019年後半から、規制上の認可を得ないままレバレッジ商品などリスクが高く複雑なデリバティブ商品を販売・宣伝していたと主張。利益だけでなく損失も増幅させる可能性がある商品が含まれていたとされ、一部の原告は数万ポンド規模の損失を被ったと訴えている。
英国では2021年以降、暗号資産企業による個人投資家向けデリバティブ提供が禁じられている。報道によれば、バイナンスも英国からのアクセス制限に向け、一部の対応を行っていたという。
バイナンスは今回の訴訟について、係争中として詳細なコメントを避けた。一方で、同社は争う姿勢を示しており、広報担当者は「利用者への義務と適用法に従った運営を継続する」と説明している。
国・地域ごとに異なる対応との見方も
今回の提訴をめぐっては、バイナンスとCZ氏に対する各国・地域の対応の違いを指摘する声もある。独立アナリストのシャナカ・アンセレム・ペレラ氏は1日のX投稿で、米国・英国・EUの動きに触れ、「同じ人物、同じ企業」が国・地域によって異なる扱いを受けているとの見方を示した。
同氏はその要因として、2023年11月にバイナンスが米当局と和解し、CZ氏がマネーロンダリング違反で有罪を認めた経緯を挙げた。そのうえで、グローバル取引所が単一のルールではなく、市場ごとに異なる規制や訴訟リスクに直面する時代になったとの見方を示している。
英国での個人投資家向けデリバティブ規制を背景に、バイナンスの当時の販売体制やアクセス制限対応が改めて問われている。今後、英国での判断が同社の地域別対応にどのような影響を与えるかが注目されそうだ。
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