トランプ大統領の発言受け、ビットコイン93,000ドル突破
英スタンダードチャータード銀行のデジタル資産調査グローバルヘッドであるジェフ・ケンドリック氏が、「米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性に対する懸念が、ビットコイン(BTC)価格の上昇を後押しする可能性がある」との見解を示した。22日、暗号資産(仮想通貨)メディア「The Block(ザ・ブロック)」が報じている。
この楽観的な見解の背景には、FRBのパウエル議長の交代懸念がある。ドナルド・トランプ米大統領は17日、自身のソーシャルメディア「Truth Social(トゥルースソーシャル)」で、「パウエルの解任は遅すぎる」と投稿。さらに21日の投稿では、「インフレはほとんど存在せず、利下げすべきだ」として、パウエル議長を「大敗者(major loser)」と批判するなど、FRBへの圧力を一貫して強めていた。こうした背景から、トランプ政権とFRBの緊張関係が市場で意識され、投資家心理に影響を与えたと見られる。
ケンドリック氏は、ビットコインが伝統的な金融システムに対する分散型ヘッジとしての役割を果たすと主張。政府による金融政策への信頼が揺らぐ局面では、中央管理に依存しない資産への資金移動が起こりやすく、特にFRBの独立性が損なわれると、市場にとってはビットコインの価値が相対的に高まるという構図だ。
しかし、トランプ大統領は22日、ホワイトハウスで記者団に対し「パウエル議長を解任する意図はない」と明言。さらに中国との貿易交渉で強硬な姿勢をとらないとしたことを受け、市場は好感ムードに。ビットコイン価格は同日に93,000ドルを突破し、前日比で6.82%の上昇を記録した。

ケンドリック氏はビットコインがここ数週間、米国債のタームプレミアム(期間に応じた上乗せ利回り)の上昇に遅れて推移していることも指摘している。同氏は2024年初頭から両者に相関関係が見られたと主張しており、この一時的な乖離がビットコインのさらなる上昇余地を示唆している可能性があると述べた。
ケンドリック氏はビットコイン価格について、2025年までに20万ドル、2028年末までに50万ドルに達するとの強気な見通しを示している。米国を中心とした経済動向に対する不安感が市場で続く中、ビットコインは今後も代替資産としての存在感を強めていく可能性が考えられる。今後も米国経済やビットコイン価格の価格動向に注視したい。
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