ステーブルコイン「USDC」発行元のCircle(サークル、NYSE: CRCL)は11日、同社が開発するレイヤー1ブロックチェーン「Arc(アーク)」のネイティブトークン「ARC」のホワイトペーパーを公開した。あわせて、ARCトークンのプレセールで2億2,200万ドル(約349億円)を調達したことも発表している。
ブラックロック、a16zら約12社が参加──FDV30億ドル
プレセールでは7億4,000万枚のARCトークンが1枚0.30ドルで販売され、完全希薄化評価額(FDV)は30億ドル(約4,710億円)となった。a16zクリプトが7,500万ドルで主導し、ブラックロック、アポロ・ファンズ、インターコンチネンタル取引所(ICE)、ARK Invest、ブリッシュ、ホーン・ベンチャーズ、スタンダードチャータード・ベンチャーズ、SBIグループ、ジャナス・ヘンダーソン、ジェネラル・カタリスト、マーシャル・ウェイスなど約12社が参加している。
上場企業がトークンプレセールを実施するのはサークルが初のケースだ。ジェレミー・アレールCEOはCNBCのインタビューで「われわれはOS(オペレーティングシステム)ビジネスに参入する」と述べ、サークルがステーブルコイン発行企業からインターネット・プラットフォーム企業へ転換する戦略を明示した。一方、上場企業が株式と並行してトークンを発行する構造に対しては、CRCL株主の価値が希薄化する利益相反ではないかとの指摘も一部で上がっている。
「経済OS」とARCトークノミクス──ホワイトペーパーの要点
ホワイトペーパーによると、Arcは決済、レンディング、資本市場、トークン化資産をひとつの共通基盤上で処理する「経済OS」として設計されている。サブセカンドの確定的ファイナリティ、規制準拠を想定したオプトイン型プライバシー機能、完全なEVM互換性を備える。
ARCトークンの初期供給量は100億枚で、トークノミクスの配分はエコシステム(トークンセール、開発者助成金、ネットワーク成長プログラム等)に60%、サークルに25%、長期リザーブに15%となっている。トークンの機能はステーキング、ガバナンス、手数料キャプチャ、プラットフォームユーティリティ、ユーティリティ領域の拡張の5つに分類される。なお、ホワイトペーパー上に個人ユーザー向けのエアドロップに関する記載はなく、プレセールの価格設定(FDV30億ドル)を踏まえると、大規模な無償配布が行われる可能性は現時点では低いとみられる。
手数料はステーブルコイン建てで価格設定されるが、プロトコルレベルでARCに変換され、バリデーターとステーカーへの報酬および恒久的バーンに分配される仕組みだ。インフレ率は初期年率2〜3%で逓減し、長期的にはネットワーク手数料によるバーンでインフレ中立を目指す。コンセンサスは当初PoA(プルーフ・オブ・オーソリティ)で運営され、その後PoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行する計画となっている。
テストネットは2025年10月に稼働を開始し、5月5日時点で2億4,410万件のトランザクションを処理済みだ。ブラックロック、ビザ、HSBCを含む100以上の機関が参加している。メインネットのベータ版は2026年夏にローンチ予定となっている。
Q1決算は増収減益、USDC流通量は770億ドルに拡大
サークルは同日、2026年第1四半期の決算も発表した。総売上高・準備金収入は前年同期比20%増の6億9,400万ドル(約1,090億円)、調整後EBITDAは同24%増の1億5,100万ドル(約237億円)と増収を達成した。一方、純利益はIPO後の株式報酬やインフラ投資の増加により同15%減の5,500万ドル(約86億円)となっている。
USDCの流通量は四半期末時点で770億ドル(前年同期比28%増)に拡大し、Q1のオンチェーン取引量は21.5兆ドル(同263%増)を記録した。有意なウォレット数(10ドル以上のUSDC保有)は720万に達し、同47%増加している。なお、同社はArcからの将来の収益をまだ業績見通しに含めていないとしており、Arcが今後独立した収益源に成長する可能性を示唆した形だ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157円)




