急激な価格変動とIMFの基準が障壁に
韓国中央銀行はビットコインの外貨準備金導入に対し、否定的なスタンスを見せた。これは16日、祖国革新党のチャ・ギュグン議員の書面質疑への回答で明らかになった。同行はこれまでにビットコインの外貨準備金導入を検討したことがないとし、「導入には慎重なアプローチが必要」との見解を示している。
米国ではドナルド・トランプ大統領が7日、戦略的ビットコインの準備金創設に関する大統領令に署名。政府が刑事・民事手続きで押収したビットコインを準備金として活用する方針が明らかになった。今回の韓国における準備金に関する質疑も、こうした米国の動向に影響を受けたものとみられている。
韓国中央銀行がビットコインの準備金導入に否定的な理由の一つが、高い価格変動性だ。同行はビットコインの急激な値動きを指摘し、将来的な価値の見通しが不透明で、不安要素が多い点を懸念している。
また、同行は国際通貨基金(IMF)の外貨準備高の算定基準にビットコインが合致していない点についても言及。IMFは外貨準備金の条件として、流動性と市場性を持ち、他の通貨と自由に交換できること、さらに信用格付けが適格投資等級以上という3つの要素を挙げている。韓国中央銀行は、ビットコインがこの条件を満たしていないとの考えを示した。
さらに、同行は他国のビットコイン外貨準備金導入の動向についても言及している。一部の国は肯定的なスタンスを見せるものの、欧州中央銀行やスイス中央銀行、日本政府なども準備金導入に慎重な姿勢を見せていると強調した。
日本では2024年12月、参議院議員の浜田聡氏が政府に対し、「米国に追随し、日本でも外貨準備金の一部をビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)にすべきだ」と提言。しかし、日本政府は「他国の動きが議論の途中であり、政府として見解を示すのは困難」と回答。仮想通貨の価格変動が現行システムと合致しない点を指摘している。
今回の発表により、当面の間ビットコインが外貨準備金として組み込まれる可能性は極めて低いとみられる。今後も同国では議論が続くと考えられるが、中央銀行レベルでは慎重な姿勢が継続される見通しだ。
関連:トランプ、ビットコイン準備金の大統領令署名も新規買い付けなし──一時85,000ドル割れを記録
関連:ビットコインを外貨準備として採用しない日本政府の真意