ビットコイン外貨準備に責任あって、インセンティブなし
日本政府は20日、ビットコインを外貨準備金として保有することに関する見解を発表した。この回答は参議院議員の浜田聡氏が提出した質問に対するもので、政府はビットコインを準備金に導入する考えがないことを明確にした。

ビットコイン外貨準備を見送る真の理由
日本政府がビットコインを外貨準備として導入することに慎重な姿勢を崩さない背景にある最大の要因は、導入にともなう「責任リスク」である。
万が一ビットコインが暴落した際、政治家や官僚が「税金を無駄にした」と追及されるリスクは非常に大きい。結果として、誰も積極的に採用を提案しようとはしない。
加えて、日本では新たな制度を設計する際、世襲政治家やキャリア官僚のための「中抜き団体」や「天下り先」など、既得権益層を保護するための仕組みづくりが取り沙汰される。ビットコインは中央管理者が存在せず、既存の規制やキックバックの枠組みとも相性が良くない。このため、政界的にも官界的にもメリットを見出しにくく、導入を見送る最大の理由となっている。
ボラティリティの高さがもたらす不確実性
ビットコインは、1日で10%以上も価格が変動することが珍しくない高ボラティリティ資産である。外貨準備は通常、ドルや米国債などの「安全資産」で構成されることが基本であり、値動きの激しい暗号資産(仮想通貨)を大規模に保有するインセンティブは乏しいといえる。
さらに、大量のビットコインを政府が購入すれば、市場に与える影響も大きくなり、その結果、思わぬ相場変動を招くリスクもある。
規制強化の必要性と既得権益の衝突
ビットコインを政府が公式に保有するとなれば、マネーロンダリングやテロ資金供与対策など、これまで以上に厳格な規制体制が不可避となる。その過程で複数の官庁が関わり、縄張り争いや利害対立が生じる可能性がある。
「ビットコインの規制を強化する」と表明するだけなら容易だが、実際に導入するとなれば権益をめぐる闘争が起き、調整には相当なエネルギーを要する。そうした手間やリスクを考慮すると、外貨準備として保有するインセンティブはさらに低下する。
まとめ:メリットよりもデメリットが目立つ現状
結局のところ、日本政府がビットコインを外貨準備として導入するとなれば、政治家や官僚が負うリスクはきわめて高く、それに見合う権益を確保できる見込みが薄い。
「ドルや米国債を持っておけば、(与党政治家や官僚は)アメリカからのおいしい見返りやキックバックがある」という現行の仕組みに比べ、ビットコインはハイリスクであり、法整備を含めた新たな取り組みが必要となる。
ビットコインの制度・規制が整備され、上級国民が実益を享受できる絵が描けるまでは、政府は慎重姿勢を続ける可能性が高いだろう。
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