ホワイトハウスで暗号資産政策を担うパトリック・ウィット氏は27日、米ラスベガスで開催中の「Bitcoin 2026」カンファレンスに登壇し、戦略的ビットコイン準備金の制度化に向けて「今後数週間以内に大きな発表を行う」と語った。トランプ政権の暗号資産政策は大統領令の段階から法制化のフェーズへと進みつつあり、米国によるビットコイン備蓄がいよいよ現実味を帯びてきた。
戦略的ビットコイン準備金、制度化に「突破口」
ウィット氏は、トランプ米大統領が昨年署名した戦略的ビットコイン準備金創設の大統領令に触れ、「政府のバランスシート上にあるデジタル資産、特にビットコインをしっかり守るために必要な仕組みや法的整理を進めている」と説明。「ある種の突破口が見えてきており、行政側から大きな一歩を踏み出せそうだ」との見通しを示した。
ウィット氏の発言は議会の動きとも連動している。共和党のラミス上院議員とべギーチ下院議員が昨年に再提出した「BITCOIN法案」は、5年間で100万ビットコインを「予算中立的な戦略」で取得する条項を含んでおり、今週「American Reserves Modernization Act(ARMA)」へと改称されたばかりだ。
現在のビットコイン価格(約77,000ドル)で換算すれば、100万BTC
BTCはおよそ770億ドル(約12兆円)規模となる。米政府が買い入れに動く可能性を示すだけでも、市場へのインパクトは小さくない。中東情勢やFOMCを前にした様子見ムードが続くなか、ウィット氏が予告した発表はビットコイン価格の次の上昇材料となり得るだろう。
また、ウィット氏は規制環境にも踏み込んでいる。世界最大級の中央集権型取引所やステーブルコイン発行体、DeFiプロトコルのいずれもが米国外に拠点を置く現状を「米国のリーダーシップの失敗」と表現。過剰でも不足でもないちょうどよい明確さを持つ「ゴルディロックス・ゾーン」の規制整備が必要だと強調した。
残る政治的ハードル、倫理条項をめぐり共和党内で亀裂も
ただし、政治的なハードルは残る。上院では民主党が、連邦職員のデジタル資産発行や推奨を禁じる倫理条項の追加を求めている。背景にあるのは、「World Liberty Financial(WLFI
WLFI)」やミームコイン「TRUMP
TRUMP」など、トランプ一族の資産のうち10億ドル(約1,595億円)超を占めるとされる暗号資産事業の急拡大だ。
共和党内からも、引退表明中のトム・ティリス上院議員が「倫理条項なしで法案が上院を通過するなら、反対に回る」と離反を示唆しており、超党派の合意にこぎつけられるかの見通しは不透明だ。
米国がビットコインを国家戦略の一部として正式に位置づける日が、「数週間以内」に訪れるのか。ウィット氏の発言を機に、5月は暗号資産市場と政治の双方が大きく動く月になりそうだ。
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