スコット・ベッセント米財務長官は10日、自身のXで、暗号資産(仮想通貨)の市場構造を定める「クラリティ法案(デジタル資産市場明確化法案)」について、上院に審議を前進させるよう強く呼びかけた。上院は8月の休会から戻る9月15日午後2時15分(米東部時間)に、同法案の議事進行動議へのクローチャー投票を予定しており、その5日前のタイミングでの発言となった。
「交渉のテーブルに留まれ」と財務長官
ベッセント氏は投稿で、7月にも上院にクラリティ法案の前進を求めていたと振り返ったうえで、デジタル資産の包括的な規制枠組みを整え、悪意ある者による重要技術の悪用を防ぐ能力を高める法案だと説明した。
そのうえで、上院が休会から戻ったら交渉のテーブルに留まり、議事進行動議に賛成し、立法プロセスを続けるよう関係者全員に強く求めるとした。これを怠れば、米国がデジタル資産の未来をめぐる主導権を放棄する意思があると、同盟国にも敵対国にも受け取られかねないと警告している。
9月15日の投票は法案の最終可決ではなく、審議に進むための議事進行動議へのクローチャー(討論打ち切り)だ。可決には60票が必要で、共和党は53議席のため、全員が賛成しても最低7人の民主党・無所属議員の賛成が要る。
クラリティ法案は、デジタル資産の監督権限を証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)で分担する枠組みを定める法案で、2025年7月に下院を通過した。
上院では倫理条項や不正金融対策、分散型金融(DeFi)の扱いなどをめぐる調整が続いており、今回のクローチャー投票が成立に向けた重要な関門となる。
市場は2026年内の成立を悲観
政権が後押しする一方で、市場参加者の見方は厳しい。予測市場のポリマーケットでは、クラリティ法案が2026年内に署名され法制化されるかを問う市場で、「はい」の確率が10日時点で17%にとどまっている。
この確率は年前半には50〜80%台で推移していたが、8月以降に大きく低下した。上院での交渉が難航し、成立への楽観が後退したことを映している。同市場の出来高は1,454万ドルに達する。


