ブータン王国の経済特区「ゲレフ・マインドフルネス・シティ(GMC)」は12日、グローバルに規制を受けた暗号資産(仮想通貨)企業向けの迅速ライセンス制度を発表した。法人設立から規制承認、銀行口座開設までを単一プロセスとして処理し、認可取得後すぐに事業を開始できる体制を整えている。
法人設立から銀行口座まで一括処理、「初日から事業運営可能」
多くの国際金融拠点では、ライセンス取得と銀行口座開設が別々のプロセスとなっており、規制承認後も口座開設に数ヶ月を要するケースが少なくない。GMCではDK Bankとの提携により、ライセンス取得と同時に法人口座が保証される。
対象となるのはシンガポール、アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)、香港でライセンスを保有する企業で、既存の規制実績に基づく迅速な審査が適用される。DK Bankは9通貨(USD、GBP、EUR、AUD、JPY、SGD、INR、HKD、BTN)のマルチカレンシー口座に加え、BTC担保融資、フィアット・暗号資産間の入出金にも対応する。GMC企業には最低6ヶ月の銀行手数料免除と、その後の優遇料金が適用される。
法人税0%、キャピタルゲイン税・配当税・相続税なし
GMCは税制面でも競争力のある設計となっている。投資水準に応じた法人税0%の優遇措置、キャピタルゲイン税・配当税・相続税の非課税、2030年までの外国人材の税優遇措置を提供する。シンガポールをモデルとしたVCC(可変資本会社)構造や、国際紛争解決センター(IDRC)も整備されている。
すでにバイナンス傘下のカストディ企業Ceffu(セフー)や、BIT(旧マトリックスポート)がGMCでのライセンスを取得しており、初期の参入企業として名を連ねている。
BTC2.3億ドル売却の裏で企業誘致を加速
ブータンは水力発電を活用したビットコインマイニングで知られ、2025年12月にはジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王が最大10,000BTC(当時約10億ドル)をGMCの開発に充てると表明した。しかし、ブロックチェーン分析企業アーカムのデータによると、2026年に入ってからのBTC
BTC売却額は2億3,000万ドルを超えており、現在の保有量は約3,119BTC(約2億5,200万ドル)まで減少している。
BTCを売却しながら暗号資産企業を誘致するという一見矛盾した動きだが、GMCの戦略はBTCの現物保有から、暗号資産エコシステムのハブとしての規制・インフラ整備へと軸足を移しつつある。シンガポールやドバイ(ADGM)といった既存の暗号資産ハブとの差別化を、ライセンス・銀行・税制の一体化で実現しようとする試みだ。



