東証スタンダード上場のメタプラネット(3350)は12日、Siiibo証券を21億円で完全子会社化すると発表した。買収後は「メタプラネット証券」へ商号を変更し、ビットコインを中核とした新たな利回り商品を提供する金融エコシステム「Project Nova」の構築を本格化させる方針だ。
眠れる1,190兆円の家計資産を狙う
同社は26年6月時点で国内上場企業トップの4万177 BTCを保有している。これまではビットコイン
BTCの「保有」を中心としてきたが、第一種金融商品取引業のライセンスと顧客基盤を獲得し、金融商品の「組成・販売・運用」を一貫して担う体制へ拡張する構えだ。
ターゲットに据えるのは、日本の家計に眠る約1,190兆円もの現預金などの資産である。インフレや金利上昇により利回りを求める資金シフトが進むとみており、この巨大市場にビットコインを活用した新たな投資機会を提供する構想を描いている。
具体的には、同社のビットコインを裏付けとする永久優先株「デジタル・クレジット」やビットコイン連動型債券を組成し、円建ての利回りを提供する計画だ。さらに、米国で設立済みの関連会社を通じた資産運用事業のほか、ステーブルコイン決済やレンディングなどの展開も構想している。
また商品提供にとどまらず、暗号資産交換業やカストディ業務への参入も視野に入れている。これらに加え、メタプラネットベンチャーズと連携したデジタル証券(ST)の発行体ソーシングから販売まで、次世代金融インフラの構築をグループ全体で推進するとしている。
買収資金の調達と今後の見通し
株式取得にかかる21億円の資金は、主に手元現金および借入金によって充当される。さらに必要に応じて、同社が保有するビットコインを担保とした上限5億ドルの借入枠を補完的に活用することも想定しているという。
株式譲渡の実行は7月13日を予定し、完全子会社化の手続きは8月下旬に完了する見通しだ。買収後にはメタプラネットから取締役2名を派遣するが、Siiibo証券の現経営陣は職務を継続し、既存顧客へのサービスも維持される。
国内最大のビットコイン保有企業が第一種金融商品取引業者を傘下に収めることで、保有資産を金融商品の組成・販売へと展開する体制が整う。ただしデジタル・クレジット優先株をはじめとする商品群はいずれも計画・検討段階であり、規制環境やシステム統合などの要因で内容・時期が変更される可能性がある点は、同社も資料内で明示している。
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