米テネシー州で、暗号資産(仮想通貨)キオスク(いわゆる暗号資産ATM)の設置・運営を全面的に禁止する州法が7月1日に施行された。同州金融機関局(TDFI)は6月4日付の通達で、送金業の免許を持つ事業者に対し、キオスク事業からの撤退を求めていた。
全面禁止、違反は「A級軽罪」
同法は「パブリック・チャプター766」(下院法案2505)として成立した。暗号資産キオスクを州内で設置・運営する行為をA級軽罪と定め、違反者には最大でほぼ1年の禁錮や2,500ドル(約41万円)の罰金が科されうる。
規制の対象は幅広い。キオスクの運営者や所有者だけでなく、機器の設置を承知で認めた店舗など施設側も含まれる。
州法はキオスクを、暗号資産を現金や銀行預金、他の暗号資産と交換するための電子端末と定義する。外部の交換業者に接続するタイプと、端末の運営者が自ら保有する暗号資産を用いるタイプの双方が対象となる。
すでに設置済みの機器も例外ではなく、猶予期間は設けられていない。
施行に先立ち、TDFIのグレッグ・ゴンザレス長官は6月4日、送金業近代化法(MTMA)の免許業者などに向けた通達「C-26-1」を発出した。刑事罰に加え、免許業者は同法違反で行政処分の対象となりうると注意を促している。
同局は、7月1日時点で違法となるキオスクを運営する免許業者に対し、6月18日までに事業停止と法令順守の方針を届け出るよう求めた。届け出期限は施行日より前に設定された。
背景に詐欺被害、全面禁止はインディアナに次ぐ2州目
禁止の背景には、キオスクを悪用した詐欺被害の拡大がある。米連邦捜査局(FBI)のインターネット犯罪苦情センター(IC3)によると、2024年に暗号資産キオスク関連で寄せられた苦情は1万956件、被害額は約2億4,670万ドル(約401億円)に上った。
被害者には高齢者が目立つ。捜査当局や消費者団体は、詐欺師が電話などで指示し、被害者に現金をキオスクで暗号資産へ換えさせる手口を警告してきた。
州単位の規制強化も加速している。米国退職者協会(AARP)の集計では、2026年時点で20州がキオスク関連の法律を成立させたが、その多くは免許制や取引上限による規制だ。全面禁止に踏み切ったのは、インディアナ州に次いでテネシー州が2州目とされる。
今回の州法は暗号資産そのものの利用を禁じるものではなく、規制は物理的なキオスクに限定される。免許制や取引上限を中心とする多くの州とは異なる対応となった。
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