米ロズウェル市、「戦略的ビットコイン準備金」設立──自治体として初

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

匿名寄付のビットコインを10年保有、公共目的に活用

米国ニューメキシコ州ロズウェル市は29日、米国の自治体として初めて「戦略的ビットコイン準備金」を正式に設立したと発表した。この準備金制度は、匿名の寄付者から寄せられたビットコインをもとに設立され、市によって長期的に管理・保有される。ジュリアナ・ハルバーソン市長代行が署名した公式な受領書も公開されている。

公開された画像は、「The Roswell Strategic Reserve & Bitcoin Emergency Fund(ロズウェル戦略準備金およびビットコイン緊急基金)」の設立を確認する受領書である。

この文書には、ロズウェル市が寄付として0.03050323 BTCを受け取ったことが記載されている。受領時の公正市場価格は、およそ2,906ドル(約41万円)であった。この寄付は2025年1月3日に匿名で行われ、市が正式に管理下に置いたのは2025年4月29日である。

受領書には、この寄付金を基にしたビットコイン準備金の運用に関する以下の条件が明記されている。

  1. 最低10年間の保有:基金は、受領日から最低10年間は保有される。この期間中、ビットコインの価値上昇によって得られた利益は、ロズウェル市の高齢者の水道料金支払いに最大100%まで充当される可能性がある。
  2. 100万ドル到達後の使途:基金の価値が100万ドルに達した場合、その時点の価値の最大21%を上限として、5年ごとに「流動的な緊急基金」として利用できる可能性がある。ただし、これは市議会が宣言した災害救助目的に限り、かつ市議会の全会一致の承認が必要となる。
  3. これ以外の目的での利用や条件変更には、同様に市議会の全会一致の承認が必要。

文書には、さらなる寄付を受け付けるための市の公式ビットコインアドレスとQRコードも記載されており、寄付を希望する人への案内も含まれている。公開されたアドレスにはその後も寄付が寄せられている模様で、5月1日時点での残高は0.05375367 BTC(約5,098ドル/約73万円相当)に増加している。

米国では今年3月、政府が押収した約200,000 BTCを活用する戦略的ビットコイン準備金の創設に関する大統領令に、ドナルド・トランプ米大統領が署名。州レベルではビットコイン準備金の設立が審議されている段階であり、それに先駆けて市レベルでの設立を公式に文書化したロズウェル市の動きは、米国内で初の事例として注目されている。

ロズウェル市による戦略的ビットコイン準備金の設立は、寄付によって始まった小規模なものだが、米国自治体によるビットコイン採用の先駆的な一歩と言える。この動きが他の自治体に波及するか、今後の動向が注目される。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.53円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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