暗号資産(仮想通貨)調査企業デルファイ・デジタルは12日、米企業ストラテジーのビットコイン(BTC)購入戦略の持続可能性に疑問を呈するレポートを公開した。同社はレポートで、ビットコイン価格
BTCの上昇を前提としたストラテジーの現行戦略に複数のリスクが潜んでいると指摘している。
資金調達の主軸「STRC」が抱える年率11.5%の配当負担
レポートでは、ストラテジーがこれまでの転換社債モデルから、満期のない永久優先株「STRC」を軸とした戦略へ移行している点を指摘。STRCは直近2ヶ月の市場内発行(ATM)による資金調達の70%以上を占めており、過去7ヶ月では約85億ドル(約1.3兆円)のビットコイン購入を支えたという。
しかし、STRCには年率11.5%の高い配当コストが伴い、その配当は普通株「MSTR」の新規発行によって賄われる。ビットコイン価格が停滞・下落した局面では、普通株主が希薄化という形でコストを負担し続ける構造だと指摘されている。
mNAV1.24倍が示す破壊的フェーズとSTRC発行上限の壁
ストラテジーの戦略の持続性を測る重要指標がmNAV(市場純資産価値)だ。付加的な普通株発行が成立する損益分岐点は1.3倍とされるが、現時点では1.24倍にとどまる。レポートは、普通株発行は既存株主の持ち分を損なう「破壊的」なフェーズに入っていると警告している。
なお、STRCには283億ドル(約4.4兆円)の発行認可上限が設けられている。レポートの試算によると、この上限に達した場合、STRC配当32.5億ドルにSTRK・STRD・転換社債利息等を加えた年間配当・利息総額は37.6億ドル(約5,926億円)に膨らむ。一方で上限到達後は新たなビットコイン購入が停止し、配当支払い義務だけが残る「数学的な反転」が生じるリスクがあるとされている。
2027年9月に迫る約1,576億円の返済期日、準備金枯渇リスクも
ストラテジーにおける直近の課題として、レポートでは2027年9月15日に迫る約10億ドル(約1,576億円)の転換社債返済期日が挙げられている。現在の現金準備金22.5億ドル(約3,546億円)で対応は可能だが、ビットコインが5万ドル以下で低迷した場合、2028年3月までに準備金が枯渇するリスクがあるとした。
デルファイ・デジタルはこの構造を「ビットコインが上昇すれば全員が勝つが、停滞・下落時には普通株主が配当負担を背負い続ける脆い設計」と総括。ビットコイン価格の大幅な上昇がなければ、ストラテジーの「無限に買い続ける」戦略は限界を迎える可能性があると結論づけている。
今月11日に535 BTC(約4,300万ドル、約67億円)の追加購入を発表したストラテジーだが、レポートが指摘する複数のリスクは着実に迫りつつある。ビットコイン市場の動向次第では、同社の戦略が大きな転換を迫られる局面も想定しておかなければならない。
関連:ストラテジー、約67億円のビットコイン追加購入──購入余力は8.4兆円
関連:「BTCは絶対売らない」を撤回──ストラテジーCEOが方針転換を表明
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.6円)



