日本企業が運営するイーサリアム完全互換のパブリックチェーン「Japan Open Chain(JOC)」のコンソーシアムを運営する日本ブロックチェーン基盤株式会社は13日、信託型スキームによる日本円建てステーブルコイン「EJPY」の発行方針を正式に決定したと発表した。2026年度内のJOC上での発行・流通開始を目指す。
信託型スキームで発行、JOCとイーサリアムに対応
EJPYは改正資金決済法に準拠した信託型ステーブルコインとして設計される。同社を委託者とし、受託者となる事業者との間で発行・償還、信託財産の管理、法令対応等の具体的な協議を進めてきた結果、信託型スキームの構築に目途が立ったという。
発行基盤はJOCを中核としつつ、マルチチェーン対応も視野に入れている。利用者向けの取扱いは電子決済手段等取引業者との連携を前提とし、販売・移転・償還は関係法令に基づく体制のもとで提供される。ユースケースとしては企業間決済、デジタル資産決済、クロスボーダー送金、自治体関連決済などを想定している。
JOCのバリデーターには電通、TIS、テレビ朝日グループのextra mile、ピクシブ、はてな、SBINFT、京都芸術大学など14社が参画しており、最終的には21社体制を目指す。稲葉大明代表取締役は「EJPYの発行はJOCを実際の決済・送金が行われる金融インフラへと進化させる重要な一歩だ」とコメントしている。
国内円建てステーブルコイン、6プロジェクトが競合する構図に
日本円ステーブルコインを巡る競争は急速に激しさを増している。EJPYの参入により、主要プロジェクトは6つに拡大した。
先行するJPYCは資金移動業型(1号電子決済手段)として2025年10月に国内初の発行を開始し、累計発行額は32億円を突破している。信託型(3号電子決済手段)では、三菱UFJ信託銀行らが推進するProgmat Coinに3メガバンクが参画するほか、SBIホールディングスとスターテイルが共同開発する「JPYSC」は新生信託銀行を発行体として2026年Q1のローンチを目指す。預金トークン型ではディーカレットDCPの「DCJPY」が企業間決済の実証を進めている。さらに、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行の3メガバンクがProgmat Coin基盤を活用した共同ステーブルコインの発行も検討しており、金融庁のFinTech実証実験ハブでクロスボーダー決済の実証が進行中だ。
各プロジェクトはスキーム設計(資金移動業型/信託型/預金トークン型)、対象チェーン、ターゲット顧客層(個人/機関投資家/企業間)で差別化を図っている。EJPYはブロックチェーンネイティブ企業による信託型として独自の立ち位置を目指す形だ。どの方式が主流となるかは、今後の実需の取り込み次第である。
なお、本発表は発行に向けた準備状況のお知らせであり、具体的な発行時期・発行条件・取扱事業者等は関係当局との協議を経て決定される予定としている。
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