米上院銀行委員会は12日、暗号資産(仮想通貨)の包括的規制法案「クラリティ法(Digital Asset Market Clarity Act・デジタル資産市場明確化法)」の最新草案を公開した。全309ページで、1月に公開された前回草案(278ページ)から31ページ増加している。草案はサウスカロライナ州選出のスコット議員が修正案として提案したもので、CoinDeskによると5月14日に委員会採決(マークアップ)が予定されている。
SEC・CFTC管轄の二元構造を維持、投資家保護とステーブルコイン条項を強化
草案の基本構造は前回から大きく変わっていない。SECが暗号資産トークンの販売・発行を、CFTCが上場後の流通市場での取引をそれぞれ管轄する二元体制が維持されている。
新たに強化された主な論点は3つある。第一に、投資家保護条項が追加され、一部の暗号資産オファリングに対するSECの詐欺防止権限およびインサイダー取引に関する権限が明記された(草案Sec. 109)。第二に、ステーブルコイン条項では、ペイメントステーブルコインを保有するだけで銀行預金のような利回りを付与することが禁止される一方(草案Sec. 404)、取引やステーキング、流動性提供、ガバナンス参加といった実際の暗号資産活動に紐づくリワードは引き続き認められる設計だ。
第三に、トークン化セクションは「現実資産(RWA)」全般を対象とする広い文言から、「トークン化証券」に焦点を絞った表現へと修正されている。また、暗号資産とは直接関係のない住宅関連法案「Build Now Act」が草案に含まれている点も特徴的で、可決に向けた票固めの意図があるとみられる。
草案全文を確認する限り、政府高官が暗号資産から利益を得ることを制限する倫理規定条項は含まれていない。CoinDeskによると、この条項は銀行委員会の管轄外であるため後の立法プロセスで追加される必要があるが、民主党のギリブランド上院議員は「倫理規定なしでは法案を通さない」との立場を示しているという。
また、報道によると銀行業界からの反発も続いている。米国銀行協会(ABA)など主要3団体が5月9日にステーブルコイン利回りに関する妥協案を拒否する書簡を上院に提出したとされ、ステーブルコインが銀行預金を代替し預金流出を加速させるとの懸念が根底にある。
法案が委員会を通過しても、上院本会議ではフィリバスター回避に60票が必要であり、少なくとも7人の民主党議員の支持が不可欠だ。下院は2025年7月に294対134で可決済みで、上院版との調整を経て最終的にトランプ大統領の署名を目指す流れとなる。報道によるとメモリアルデーの休会(5月21日〜)までに委員会を通過しなければ、2026年中の成立が困難になるとの見方も出ている。
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