マイケル・セイラー氏率いる米ビットコイン投資企業ストラテジー(旧マイクロストラテジー、MSTR)は17日、8月10日から16日にかけて自社株を売却し、約3億3,370万ドル(約532億円)を調達したと明らかにした。資金は優先株の配当と買戻し、米ドル準備金の拡充に充てられ、同期間中のビットコインの購入・売却はなかった。
優先株対応と手元資金の拡充に注力
同社は8月10日から16日にかけて、市場の実勢価格で自社株を売り出すATM(アット・ザ・マーケット・オファリング)を通じ、クラスA普通株式(MSTR)を345万8,866株売却した。優先株4銘柄については、いずれも期間中の発行がなかった。
調達した資金のうち、5,240万ドル(約84億円)が優先株「STRC」の配当支払いに充てられ、1億3,220万ドル(約211億円)は、同社が6月に発表した「デジタルクレジット証券買戻しプログラム」に基づき、STRCの買戻し資金として使用された。
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さらに、残る1億4,910万ドル(約238億円)は、米ドル準備金の拡充に充てられた。これにより同準備金の残高は8月16日時点で48億ドル(約7,651億円)に達したという。この準備金は、優先株の配当金および既存債務の利払いを支えることを目的としている。
同社は当該期間中にビットコイン
BTCの購入または売却は行っていないと報告した。同社が保有する84万447BTCは、手数料および経費を含めて総額633億6,000万ドル(約10兆996億円)で取得され、1BTCあたりの平均購入価格は7万5,385ドルだった。
ビットコインを買わない理由を考察
これまでビットコイン購入を毎週のように公表していた同社が、購入を休止して手元資金の増強を進めている。背景には、同社が直面する「MSCIの株価指数からの除外リスク」があるとの見方が成り立つ。
そのMSCIは14日、「非事業会社」を主要指数から除外する新たな基準について意見募集を開始した。暗号資産に限定した基準ではない。
事業用資産が総資産の50%を超えるかをまず判定し、満たさない企業には事業資産集約度や費用集約度、キャッシュフローなど5つの財務比率を適用する。4つ以上に抵触すれば対象外とする二段階の設計だ。
2026年5月時点のデータを当てはめた場合、MSCI ACWI IMI指数から削除されるのはストラテジー、メタプラネット、ウランを保有するイエローケーキの3社。イーサリアムを保有するシャープリンクなど3社はウォッチリストに入る。ビットコインを大量に保有するストラテジーは、削除対象の筆頭格にあたる。
同社は14日、公式Xで「デジタル資産は資産である。指数算出会社は市場を測定すべきであって、企業がどの資産を保有してよいかを決めるべきではない」と反論した。MSCIの提案は規制当局や市場、同社自身の顧客と歩調が合っていないとも指摘したうえで、「ビットコインにMSCIは必要ない。ストラテジーにも必要ない」と述べている。
問題は株価だけではない。ストラテジーはMSTR普通株に加え、STRCなどの優先株を発行して資金を調達し、その資金でビットコインを買い増してきた。株価が下落すれば新たな株式発行による資金調達が難しくなる一方、STRCへの配当や既存債務の利払いは続く。
もっとも、MSCIの提案がそのまま実施されると決まったわけではない。意見募集は9月30日まで受け付け、結果は10月16日までに公表される。適用は早くて2026年11月の指数見直しからだ。
既存の構成銘柄は、2年連続で基準に抵触した場合にのみ削除される。MSCIは2025年10月にも、デジタル資産が総資産の50%以上を占める企業を除外する案を示していたが、2026年1月に実施を見送っている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.4円)




