米SEC、投資顧問による仮想通貨カストディを容認へ──保管業者不在時に限り

米SEC、投資顧問による仮想通貨カストディを容認へ──保管業者不在時に限り
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shoko-koyama
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Highlights
  • 米SECは米国時間1日、投資顧問業者と規制対象ファンド向けの暗号資産カストディ規則案を公表
  • 適格な保管業者がいない場合に限り、顧問業者が顧客の暗号資産を自ら保管できる枠組みを提案
  • 州の銀行当局が認めた州信託会社も保管先に加える案。意見募集は官報掲載から60日間

米証券取引委員会(SEC)は米国時間1日、登録投資顧問業者(RIA)と規制対象ファンド(登録投資会社・事業開発会社)を対象に、暗号資産(仮想通貨)のカストディ(保管)に特化した枠組みを設ける規則案を公表した。一定の条件のもとで顧問業者自身による保管を認めるほか、州信託会社を保管先に加える。意見募集期間は連邦官報への掲載から60日間となる。

SEC規則案の柱は投資顧問業者による「自己カストディ」

規則案は1940年投資顧問法と1940年投資会社法に基づく。新たに設ける柱の一つが自己カストディで、適格な保管業者が見つからない暗号資産について、顧問業者が顧客の代わりに保管することを条件付きで認める。ファンドの場合は顧問業者を通じて保管し、取締役会がその体制を監督する仕組みだ。

ここでいう自己カストディは、投資家本人が資産を自ら管理する形態を指していない。

対象もすべての暗号資産ではない。ヘスター・ピアース委員の声明が引用した規則案本文によると、投資顧問法上の改正が適用されるのは「資金または証券」(規制対象ファンドの口座では「証券または類似の投資対象」)にあたる暗号資産に限られる。

項目主な条件
保管の前提保管開始前と以後四半期ごとに、適格な保管業者がいないと書面で判断する
専門性・保管体制保管の専門性があると判断した根拠を文書化。秘密鍵管理と2人以上による取引承認を含む体制を整え、年1回以上見直す
アドレス顧客ごとに、その顧客の暗号資産だけを保管するアドレスを使う
サイバー対策サイバーセキュリティ管理を少なくとも年1回見直す
内部統制報告保管開始から6カ月以内と以後毎年、独立会計士の内部統制報告書を取得する
顧客への報告少なくとも四半期ごとに口座報告書(アカウント・ステートメント)を送付する(規制対象ファンドの口座は対象外)
書面合意保管中の暗号資産を州法上の「金融資産」として扱うことを顧客と書面で合意する
ファンドの場合取締役会が、適格な保管業者がいないとする判断根拠の報告書を当初と四半期ごとに確認し、保管前と毎年、合理的な注意のもとで保管されるかを判断する
自己カストディの主な条件(SECのファクトシートと規則案本文をもとに作成)

書面合意の条件について、ファクトシートは州法上の追加的な保護を得るためと説明している。この点に着目したのが、クリプト・イン・アメリカでジャーナリスト兼ホストを務めるエレノア・テレット氏だ。

同氏は2日のX投稿で、合意の中身は統一商事法典(UCC)第8編上の金融資産として扱うものだと説明し、顧問業者が破綻した際に顧客が暗号資産を失うリスクを減らす狙いがある可能性に触れた。

自己カストディの書面合意要件について解説するテレット氏のX投稿

州信託会社を暗号資産の保管先に──PCAOB登録要件は廃止へ

もう一つの柱が州信託会社の活用である。ファクトシートによると、現行規則では銀行が適格な保管業者にあたるものの、州信託会社が銀行の定義を満たすかどうかは、州法と連邦法に照らした個別の分析が必要になる。

規則案では、州の銀行当局から暗号資産の保管を認められていると合理的に判断できることなどを条件に、州信託会社を保管先に加える。顧問業者やファンドは契約前と以後毎年、認可の有無と保管方針を確認し、監査済み財務諸表と内部統制報告書を精査する。顧客資産は信託会社の自己資産と分別しなければならない。

暗号資産以外では既存規則の近代化も盛り込み、カストディ規則上の業務を担う独立会計士に対し、公開会社会計監督委員会(PCAOB)への登録と定期検査を求める要件を廃止するとした。

ブロックチェーン上の記録で記録保存義務を満たすことも条件付きで認める。Form ADVとForm N-CENも改正し、暗号資産やトークン化ファンド持ち分の保管状況を報告させる。

米SECピアース委員は2023年案と比較──アトキンス委員長は追加の規則案を予告

SECは8月25日、今回のカストディ規則案を米行政管理予算局(OMB)に提出していた。同規則の改正は2023年にも提案され、2025年6月に撤回されている。ピアース委員は今回の声明で、当時の案では暗号資産の適法な保管は不可能に見えたと振り返った。

同委員は、今回の案が、規制の「ジェットコースター」の穏やかな終わりが近いことを示すものになるよう望むと述べた。

自己カストディという呼称には異論も示した。規則案の用法は投資家自身による本来の自己保管を反映していないとして、顧問業者による保管と区別するため「シェルフ・カストディ」と呼ぶほうが望ましかったとの考えを示している。投資家が自ら資産を保管する権利は、規制当局が熱心に守るべきだとも記した。

ポール・アトキンス委員長は声明で、2008年のビットコイン登場以来、暗号資産市場は数兆ドル規模の資産クラスに成長したとし、「残念ながら、我々の規則や規制は追いついていない」と述べた。

カストディ規則案について声明を投稿したアトキンス委員長のX投稿

同委員長は今回の枠組みを包括的な暗号資産規制の一部と位置づけ、2025年12月の米証券保管振替機関(DTC)へのノーアクションレターや、1月のトークン化証券に関するスタッフ声明などを挙げた。

8月には暗号資産の募集規則案レギュレーション・クリプト・アセッツを提案し、トークン化株式のイノベーション免除も導入したと説明。声明では「さらなる規則案が控えている」とも述べた。

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仮想通貨歴6年。ニュース記者歴4年。常に仮想通貨ニュースを追う。情報ソースを追究し正しい情報をわかりやすく伝えることに努めている。仮想通貨は下落するたび買い増すタイプで、主にステーキングで資産運用中。
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